アイテム番号: SCP-3889-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-3889-JP暴露者は全て確保され、防音処置が施された標準収用セルにて収用状態に置かれます。SCP-3889-JP暴露者が一般社会で発見された場合直ちに収容され、周辺人物への検査が行われます。SCP-3889-JP事象が発生する兆候を見せた場合には直ちに収容室を完全に締め切り、SCP-3889-JP事象の終了まで維持してください。
説明: SCP-3889-JPは不明な条件で感染・伝達する認識災害及びそれに付随する現象です。SCP-3889-JPは暴露した人間(以下、暴露者)に以下のような流れの現象及び認識の変容をもたらします。
1.感染初期。暴露者の周囲で暴露者自身が「幸運」として認識される出来事1が増加します。この現象に対して大抵の暴露者は軽度の幸福感を感じますが、常に「何かに監視されているような軽微な違和感と恐怖感」を常に訴えるようになります。
2.感染前期。「幸運」の頻度と程度が異常な段階まで上昇します。2「幸運」の直後、感染者は強い違和感と明確に認識できる恐怖と共に「内側からこみ上げるような笑い」を知覚します。この時点では、笑いは感染者自身の意思で抑制することが可能な範疇に収まっています。
3.感染後期。「幸運」がさらに上昇し、感染者はその度に非常に強い恐怖感を訴えますが、「内側からこみ上げるような笑い」の程度が更に強くなり、その結果「幸運」の直後に感染者は大抵の場合その場で笑いを止められなくなります。この笑い声をある程度の時間、電子機器等を介さず直接認識した場合低確率でSCP-3889-JPに暴露することが判明しています。また、この段階からの暴露者の終了の試みは恐らくは「幸運」による外的要因によってこれまで全て失敗しています。3
4.感染終期。暴露者は常に強い恐怖を訴え、同時に堪えることのできない強い笑いを知覚します。結果的に暴露者は常に爆笑しつつも同時に不安障害に似た強い恐怖と不安感を感じるという状態になります。この笑い声を認識した人物は高い確率で
対象: [人間、団体、SCPオブジェクトなど]
インタビュアー: [インタビュアーの名前。必要に応じて█で隠しても良い]
付記: [インタビューに関して注意しておく点があれば]
<録音開始, [必要に応じてここに日時(YYYY/MM/DD)を表記]>
インタビュアー: [会話]
誰かさん: [会話]
[以下、インタビュー終了まで会話を記録する]
<録音終了, [必要に応じてここに日時(YYYY/MM/DD)を表記]>
終了報告書: [インタビュー後、特に記述しておくことがあれば]
補遺: [SCPオブジェクトに関する補足情報]
正体不明の認識災害とそれに付随する現象。
感染すると運が日に日に上昇するが同時に恐怖感も常に感じるようになる。だが恐怖を感じながらも感染者はこみ上げるような笑いを感じ、最終的には常に強い恐怖を感じつつも爆笑しているという状態になる。この笑い声を聞くと感染する場合がある。日に日に感染者は衰弱し、最終的に肉片や血痕を残して行方不明になる。
感染したが症状が進行しない研究員にインタビューを行う。「笑いは元々威嚇」「何かが常につきまとってきているような感覚がある」「一人の時は常に笑うようにしている」などの証言が得られた。
最後にメールが届く。研究員からだった。いきなり症状が進行したという。震える文字で現状を研究の助けにと伝える研究員だったが、最後に何枚かの画像と音声ファイルをメールに送ってくる。その音声は、酷く擦れ歪んだけたたましい高笑いであった。
これの正体は「情報に乗って生物に寄生し、恐怖を食い荒らして衰弱させ身体まで貪る概念上の寄生虫」です。
遥か昔、人類の祖先は威嚇をすることで天敵から身を守っていました。しかし、実体がない寄生虫に威嚇などできず多くの祖先が生命を落とします。また、途中で宿主が死んだりしないように「運」を与えて生存率を上げていました。寄生虫に対抗するために生み出されたのが「笑い」です。寄生虫は恐怖心を食いますが、全く違う感情である「笑い」の味が嫌いだったのかそれは去り、人類は発展します。
時は経ち、「笑い」の感情が存在しない生物の恐怖を食って生きながらえていた寄生虫はついに笑いに対する耐性を獲得し人類へのリベンジを行います。寄生された人間は本能で笑い続けることで対抗しようとしますが、もはや寄生虫にはあまり効きません。宿主に運を与えて恐怖心を生み、心も身体も食い荒らして寄生虫は爆発的に繫殖しました。さらに笑いを「情報」として捉えることで自らの増殖のための道具にまで仕上げました。免疫反応の咳から伝染するのと同じようなものです。なお、笑いが苦手なのはそのままなので笑い続ければ死は遠ざけられます。
財団が察知し収容に向かいます。担当研究員の一人である読者(つまり記事を読んだあなた)は黒山研究員と知り合いであり互いに意見交換などをしていましたが黒山研究員は暴露してしまいます。
黒山研究員はこれまでの結果から「笑い続ける」ことで生き延びることが可能だと考察し、防音室の中では常に爆笑していることで進行を抑えていました。
しかし、症状が進行しないことから暴露者へのインタビューその他諸々を任され彼らの笑い声を聞きすぎた彼はとうとう症状が進行。感染を広めないために一人防音室に引き篭もった彼は同僚、つまり読者にメールで情報を伝えようとします。
しかし寄生虫にとって繁殖できないのは由々しき事態です。結果的に彼は無意識のうちにコントロールされ、ボイスメッセージ機能で読者に笑い声を伝えてしまいました。
ちなみに読者がこの記事を読んでいる間恐怖を感じてしまった場合、確実に感染しています。「笑い続ける」という対処をしていない読者は寄生虫へ無防備な状態です。ましてや恐怖心という餌をたっぷり蓄えた状態で音声を聴いてしまえば感染は確実です。
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