アイテム番号: SCP-XXXX-JP
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: SCP-XXXX-JPはサイト-81-109の標準生物収容セル内に収容されます。SCP-XXXX-JPを用いた実験の実施には担当職員3名からの許可が必要になります。SCP-XXXX-JP-1の発生が確認された場合、担当職員による回収の後にサイト-81-109の適切な管理セクターに移送されます。
説明: SCP-XXXX-JPは後述の異常性を有したイエイヌ(Canis lupus familiaris)です。外見や生態に異常な点はありません。通常時のSCP-XXXX-JPは非異常性のイエイヌと同様に扱うことが可能です。財団によって収容される以前のSCP-XXXX-JPは民間人である佐竹 孝吉氏(当時25歳)によって飼育されていたことが明らかになっています。
SCP-XXXX-JPは以下の条件を満たす物品を複製する能力を有しています。
- 過去に佐竹氏が所有していた
- 佐竹氏が存在を忘却している
- 現在、佐竹氏の手元に存在していない
SCP-XXXX-JPによって複製された物品(SCP-XXXX-JP-1に指定)は、複製対象と同様の機能を有しています。SCP-XXXX-JPは不定期に能力を行使し、SCP-XXXX-JP-1を発生させます。SCP-XXXX-JP-1の発生メカニズムに関する詳細は判明していません。
SCP-XXXX-JPは2015/10/21に宮城県仙台市にある住宅にて発見されました。発見契機はSNS"Twitter"における「飼い犬が忘れ物を生み出した」という旨の投稿であり、これに興味を抱いた財団による調査の結果、その存在と異常性が特定されました。
補遺XXXX-JP.1: インタビュー記録
以下はSCP-XXXX-JPの飼育者であった佐竹氏に対するインタビュー記録の一部抜粋です。記録の全容については別途資料(資料コードXXXX-JP-σ)を参照してください。
インタビュー記録XXXX-JP.1
対象: 佐竹 孝吉氏(佐竹氏と表記)
インタビュアー: 箕田博士
«記録開始»
箕田博士: 例の投稿について話してください。
佐竹氏: ……わかりました。あれは数日前の昼頃のことだったと思います。当時、俺はコンビニまで昼飯を買いに行ってたんです。それで、コンビニに傘を忘れてきちゃったんですよ。行く時は雨降ってたんですけど、帰る時になったら晴れてて。それでうっかり置き忘れちゃった感じです。
箕田博士: 続けてください。
佐竹氏: でも当時の自分はそんなことに気付いてなくて。そのまま家帰って昼飯食ってたんですよね。そしたら、タロー1が駆け寄ってきて。腹減ったのかな〜とか思いながらじゃれてたら、突然コンビニに忘れてきたはずの傘を出したんですよ。
箕田博士: どのように出したかとか分かりますか。
佐竹氏: 分からないです。なんかパッと目の前に現れた感じで。んで、それを見てはじめてコンビニに傘を忘れたことに気付いたんです。でも忘れてるんだから傘はコンビニにあるわけじゃないですか。なのに、目の前にはその傘と同じものがあって。正直、ちょっと訳わかんなくなってたんですよね。
箕田博士: それでコンビニに向かったところ、自分の傘は傘立てに差したままだったと。
佐竹氏: はい。だから尚更わかんなくなって……。それで気持ちの整理も兼ねてTwitterに書き込んだわけなんですよね。
箕田博士: 例の投稿以前に、飼い犬が同じようなことをしたことってありますか?
佐竹氏: いや……特にないですね。普通のイヌですし、そんなことするとは思ってなかったですし。でもまあ、悪気があってやった訳じゃないってことは分かります。
箕田博士: というと?
佐竹氏: 多分、タローは「これ忘れてるよ!」って俺に教えてくれたんじゃないかなって。その後も同じようなことが何度かあって。その時にタローが出したものも俺がどこかに忘れてきたものだったんで、きっとそうなんじゃないかなあって。あくまで、俺の勝手な考えですけどね。
箕田博士: なるほど。ありがとうございました。
«記録終了»
終了報告書: 佐竹氏は記憶処理の後に解放されました。
上記インタビュー内容から、SCP-XXXX-JPの異常性は偶発的かつ後天的に発生したものであると判断されました。
補遺XXXX-JP.2: 追加情報
財団による収容以降、SCP-XXXX-JPは頻繁に異常性を行使し、自身の複製を発生させています。本項目執筆時点での複製されたSCP-XXXX-JPの個体数は52体です。これについて調査と検証を行った結果、佐竹氏に対する記憶処理とSCP-XXXX-JPの収容活動を行った結果、SCP-XXXX-JP自体が複製対象としての条件を満たしてしまったことが明らかになりました。これを受けた財団は佐竹氏に対する記憶固着処置やSCP-XXXX-JPの暫定的解放を行いましたが全て失敗に終わっており、SCP-XXXX-JPを複製対象としての条件から外すことはできませんでした。
現在も、SCP-XXXX-JPは自己複製を続けています。
文字数: 2799