我が身体よ鋼凶となりて

「おう、おうお嬢ちゃんここに何の用?」

「あ…あの…えっと…」

「そない綺麗なおべべ着てこんな路地裏来たらあかんでぇ。ワシらこん辺りパトロールしとんねん」

「し、私服警官とかですか…?」

「あ~ん!?なんや嬢ちゃん犯罪者なんけ」

「いや…その…」

「█████って、どこで見れるか分かりますか?」

「あ?そんなん大阪の街でそこら辺にあるわけないやんけ」

「ちょう怪しいなァ…早よこっから出てけ!」

「……そうですか、わかりました」

ぱぁん

「え」

「あなたも」

ぱぁん

「ぎゃあああ!!応援!本部から応援呼べや!」

「……」

ぱぁん ぱぁんぱぁんぱぁんぱぁんぱぁんぱぁんぱぁん

「█████、いっぱい見れて良かった」

「でも…でも、まだ足りないし、これじゃない」

「うふ、う、うふふ。待ってて」


・・・

・・・

・・・

・・・

・・・

・・・

市俄会いちがかい

関西圏を拠点として活動する暴力団組織であり、異常物品を扱う要注意団体。「関西の要石」であるサイト-81KKでは、当該団体の危険度を最悪敵性レベルである「撃滅」に定めており、81KKが情報を把握している組織の中で最も危険な存在である。

市俄会の活動に関して、彼らはフィクションのヤクザもんしかやらないような仕事シノギを現実で行っている。薬の売買、非合法の契約、拉致監禁、殺人。その中で「異常」という彼らだけのアドバンテージを悪意を以って振るう事で、市俄会は広範な影響力を獲得してきた。


「関東圏と関西圏の相違点を答えろ」と聞くと、大抵思いつくものはあるだろう。料理の味の濃さ、言動の溌剌さ、気温の温かさ、地震等の災害頻度。

あとは、変死体の多さ。関西ではあり得ない状況・死因によって骸と化した遺体が多く見つかる。そのくせ発見された遺体の総数は関東より少ない。あまりにも不可解な地である。

「ヒッ、ヒッ…ゆる、してぇな」

大阪、地下街の更に下。下水道のパイプとネズミや害虫の生き物たちが吹き出す蒸気は不快な感覚を来訪者に与えてしまう。

「ひっ、ひぃ〜。許してぇ、許してぇな〜。ぎゃは、ぎゃははは!おもろ!お前なんで今さら命乞いやねん!」

普通に生きている人間ならこの場所は永遠に寄りつかないし知ることすらない。配管設備が仕事であっても、それが一般の会社なら同様である。

「痛いのやられて初めてお前の状況分かったきゃあ?もおっと叫んでええで。ワシらの手ェ噛んでもええ、いや、噛め!」

「『だいきらい』、それだとまるで貴女が変態と誤解されますよ」

「これから死ぬけぇ構わんやろが!誤解されたまんまでも!」

「彼らが幽霊や呪いになって化けて出る可能性も考慮しませんと、雑魚ではありそうですが」

「ぎゃは!『はやりやまい』も言うようになったのお!!」

「2人とも」

「んぁ〜?」

「はい?」

「ちくと、黙りいや。こいつらが死んでも死にきれんようになる可能性考慮すんなら、俺らが騒音扱いされてお犬様に通報される可能性も考えなあかんやろ」

「ここが"アビス"言うても〜?」

「ここが"アビス"言うてもや」

「ひひひ…はぁい」

「注意します、では残りの工程はあとは『あらいざらい』が一任してくださるのですか?」

「いや、仲良く3人で分けようや」

倒れ伏しているのが5人、それらを見下げて談笑しているのが3人。5人は顔面のパーツ・指や爪を中心に様々な欠損が散見され、彼らの血やあらゆる体液が我慢の限界を表すように撒き散らされていた。

それに対する3人、最も声量の大きい「だいきらい」と呼ばれた人物はこの空間唯一の女性だった。ぱっちりと大きく見開いた目、表情豊かに動く口角、くすんだ桃色のリボンをつけたツインテール、少しアニメ声の入ったやや高音発声。服に血が付着することを恐れて着ている季節違いの男物のコートでもその巨大な体躯をすっぽり包み込むことは不可能であった。あらゆる箇所がでかい。

「はやりやまい」はそれ以上に身長の高い男性だった。ただしこちらは身長「だけ」がでかく、露出している腕は比喩でも何でもなく小枝と遜色ない大きさである。つり目がちだが優しげな口元と物腰柔らかな言動、少し縮れた肩まで余裕でかかる髪。何よりも服装が軽装であり、「だいきらい」と違って他者の体液を喜んで被りそうな印象を受ける。

「あらいざらい」は前者2人と比べるなら特筆すべき特徴は無い男性だった。長めに刈り上げた黒髪、誰かを睨むような切れ長の目、常にへの字に閉じた口、身長は170cm程度であり、強いて言うなら筋肉量は一般人のそれではないが服の上からでは判別がつかない。

3人とも総じて美形といって遜色ない端正に整った顔面であり、総じて口元や手先が血まみれであった。そのような汚れがなくとも、少し察しの良い人間ならば彼らがどこか殺気を孕んだ状態で正気を保っていることを感じるだろう。

「ただまあ、お前らは存分に叫んでええわ」

「あらいざらい」が転がっている死に体のうち1人を足蹴にする。彼らは枝葉の四次団体でありながら、市俄会に明確な反抗の意図を見せた裏切り者である。

「俺らが駆り出されたってことは『見せしめ』の側面が強い処刑を、組長くみちょうたちが望んでるんやからな」

「だいきらい」が屠畜される1人を適当に選び、その大きな握り拳で指先を爪ごとすり潰す。「はやりやまい」が屠畜される1人を適当に選び、その細い腕に見合わない怪力で無理矢理口を開き、もう片方の細い腕を無理矢理食道へ、胃へ侵入させる。どちらも意図的なテンポの悪さが見て取れる作業であり、長く苦痛を味わってもらおうという心意気の産物だ。

「何が組長おやじや…刺青すみ親子杯さかずきもねえ…使い捨ての餓鬼どもがっ…!」

「そいつらに殺されるんやからご愁傷様やで」

叩きつけるような手刀、首や急所は狙わない。まるで鋭利なナイフでつけられたような裂傷が裏切り者に刻まれる。

「はい、お大事になさってくださいね」

「はやりやまい」が腋まで体内に侵入させた腕を、突如としてレバーを引くように激しく動かした。それと共にボキイッと鈍い破裂音が鳴り響き、彼が選んだ標的は皮膚に浮かび始めた斑目模様に気にかけることなく、気道を押さえて口をぱくぱくと動かし、やがて死んだ。

「骨ェだけ壊されんのと肺だけ壊されんのドッチがええ〜!?どっちか一個は残したいねんなァ…変死体やないと『見せしめ』の意味ないからぁ〜!」

そこらの男より2回りも大きな「だいきらい」の握り拳は、最後に裏切り者の胸部に狙いをつけた。比喩でもなんでもなく彼女の拳が人間の体に沈み込んでいく。そうして緩やかな勢いのまま銃弾が裏切り者の体を貫通する直前に、そいつは両目を派手に破裂させて「あ、あ」と呻き声を漏らし死んだ。

「…考えてみれば」

「どうしました」

「5を3でキッカリ割れるわけなかったわ、俺アホやった」

「ああ、その話…」

「や〜いアホ〜!」

「うっさい」とバツが悪そうに「あらいざらい」が愚痴り、そこで手刀は止まった。人の手がそこまで硬いはずはない、であるにも関わらず彼の手刀の餌食は多数の切り傷に体を覆われ、どくどく流れる血を止める素振りもなく死んでいた。

「これらの後始末は?」

「いっちゃん派手に死んだのは『見せしめ』、後は《骸工》

「あいよぉ〜ぃ」

「…!…!!」

「あらいざらい」が取り掛かろうと襟首を掴んだ2匹目が《骸工》の名前に拒絶反応を起こした。市俄会が保有する工場、その真の意図を知っているのだろう。

「なんや、やればできるやん。もっと抵抗してくれや。それを折ってこその警告になるんやからな」

「多なったのぉ《骸工》行き!そない生贄の数足らんのかい」

全員分の屠殺を終え、「だいきらい」が暑そうに男物のコートを地面へ脱ぎ捨てる。

「そんなんやから関西は関東に比べて人死にが少ないけど変死体は多いなんて通説が罷り通っとるんちゃいまっか~」

「我々にその分仕事も回ってきます、必要とされる機会が多いのはありがたいことです」

「はっ、給料がもらえる訳でもなしに…どした?『あらいざらい』」

「だいきらい」がまず最初に、次いで「はやりやまい」が気づいた。普段から仏頂面であった「あらいざらい」が連絡用の端末画面を驚愕の表情で凝視している。

「これ…」

画面を2人の方に向ける。差出人の名前は瑠璃座組、名嘉阜なかおか。メッセージ本文は「その場から動くな。組の者を送ったから指示に従え。死体もそいつらに預けろ」

「…久々ちゃうん、ウチらが地上に出る許可貰ったんは」

「それどころか、死体の運搬まで任せていいっていうのは初めての指示ではないですか…?」

「ああ、ひとまず失礼無いようにしといた方が絶対ええ。2人とも…」

「あらいざらい」が指示を出す直前、"アビス"の屠殺部屋にポータルが開いた。そこから10人、瑠璃座組の代紋が付いた白スーツが続々と現れる。

「文楽号3人、来い。死体は置いていけ」


・・・

・・・

・・・

・・・

・・・

・・・

《骸工》

市俄会が保有する異空間に建造された工場。死体の処理に悩んでいた市俄会が目を付けたリサイクル工場であり、そこで加工された死体はゾンビ兵士や役立つ物品に変換される。

ただ近年では、《骸工》そのものの意志が死体を求めているという噂もある。真偽不明ではあるものの。


「お前ら、好きなもん頼め」

ボロボロだが清掃は行き届いている定食屋。同じように粗野な顔面でありながらも白スーツ姿や礼儀作法が堂に入る男が、対面の3人にメニューを投げた。瑠璃座組3代目会長、名嘉阜なかおか 東間あずまその人であり、3人にとって直属の上司である。背後、いや店の全てを瑠璃座組の組員が取り囲んでいるあたりここはシマの1つなのだろう。

「野菜炒め定食で、お願いします」

「お冷をいただけますでしょうか」

「…チャーシューメン大盛り、半チャーハン付きで」

1分もしないうちに厨房から注文の品が運ばれ、ボロい赤テーブルに置かれた。だが誰も口を付けようとしない。どれだけ冷えているのか確認できないまま、ひやのコップに付いた水滴がテーブルを濡らしている。

「突然やけどもう"アビス"には戻れへんわ」

部下につけてもらった煙草をゆっくりとふかしながら、名嘉阜が不機嫌そうに呟いた。これが他の組の人間から言われた通達なら真っ先に「だいきらい」が大声で噛みつくだろう。だが「だいきらい」も「あらいざらい」も、淡々としている「はやりやまい」も何も言わない。目を見開いたり口角を歪めることすらしない。

「まあ~…市俄会の9割9分がもう入れへんようになっとるんすけど。はい、顔上げぇ」

3人が一斉に俯くのをやめて、眼前の組長の顔を見ることを許される。たれ目によく笑う口、切ることがほとんどない髪を強めに縛ったポニーテールは一見すると軽薄な印象を受ける。

「ここでじゃあ…『だいきらい』が俺に質問せえ」

「一体どうしてですか、組長」

質問のタイミングを貸与された3体のうち1体が間髪入れずに質問する。

「流野組の逆井さんっちゅう若頭補佐、まあお前らは知らんやろうけどそいつがやらかした。ハイイロの女"アビス"に呼んで陵辱したろ思たら返り討ちにされたんやて。ワハハ...

ガァンと大きな音がして、テーブルがひっくり返った。名嘉阜が組んでいた足で思いっ切り蹴り上げたのだ。

「ふざけとるわなぁ?逆井さんのヘマのおかげ様で大阪の地下ァ財団ハイイロどもが土足で調査しとる。昨日の今日で俺がお前ら助けんかったら捕まっとったで。もうあっこは使えまへん。お前らの布団も金になりそうなもんもカスみたいな思い出の品も押収されるやろうけど、しゃあないよなぁ?」

「ここで全員、感謝の言葉を俺に述べる!」

「ありがとうございます」

「あらいざらい」も「はやりやまい」も「だいきらい」も、同じ抑揚同じ言葉同じタイミングで名嘉阜に言った。熱々の料理が顔や膝にぶちまけられたが、不快感をあらわにすることも残飯を払って火傷を冷ますことも許されていない。3人が許可されたのは「感謝の言葉を俺に述べる」、それだけである。

「ちゅうわけや、お前らの新しい保管場所については後々通達する。それがまず1つ目、2つ目は仕事や。ちいと特殊らしい」

名嘉阜が煙草の灰を「あらいざらい」の顔面に押し付ける。「あらいざらい」はそれを甘んじて受け入れる。顔を歪ませることも逃げることも灰を払うことも許可されていない。

「逆井のドアホウがハイイロに捕まったのと同じ時期や、直系幹部の裏切りが発覚した志麻しま言う幹部は元を辿りゃあ泉州やったが、市俄の名前に泥塗るために関東の有村組と手を組みおった。名前知らんけど白沼組の有力者を幹部にしたろ言う会合で御堂みどう会長に刃ァ立ておった」

「ほいで昨夜…いや時間的には今日やったか、心斎橋の方で下っ端が5人やられた。爆殺や」

「ばぁーん言うてな?」と名嘉阜が「はやりやまい」のデコを強く平手打ちした。その衝撃に彼は椅子ごと地面に倒れたが起き上がらない。本来ならそれで話が進むはずだったが、名嘉阜の表情がみるみるうちに険しくなっていく。

「……誰が受け身取って頭浮かしてええ言うたァ!!」

「はやりやまい」の顔面に名嘉阜の靴底が押し付けられた。

「お前ら"文楽"はなあっ、俺の言うことだけ聞けばええんやっ!!俺がいつお前の頭守れ言うたよ、ええ2号!?俺が何も言うてへんやったら大人しく頭ゴッチンして脳震盪でもなんでもなれや、ああ!?違うか!?違わへんよなあ!?正しいって言えや!!」

「申し訳、ございま、せん。正しい、です」

「謝れ言うとらんのじゃあ!!」

それから数十回、全く抵抗のない1体の"文楽"の顔面を数十回足蹴にして、最後に吸いかけの煙草を投げつけたあとに話が再開した。

「…はぁ、でなんやっけ。ああそう爆殺犯、直接的に志麻とか有村と繋がっとるっちゅう証拠はないんやけど本家はそのセンで話進めとる。偶然にしては時期が重なりすぎとるし俺もその考えや」

「最悪有村との抗争に繋がるかも分からん案件や…派手にドンパチやらかすんが好きな津根岐の兄さんはいつも以上に反対意見唱えとったけどハイイロにも睨まれとる今そがな軽率な真似できへんやん…はぁ。まあいつも通りお前らの『見せしめ』タイムや。分かったら返事」

「『あらいざらい』了解です。下手人の素性を突き止め、必ず後悔させます」

「同じく『だいきらい』も分かりました。変死体を数日足らずでお届けしますわ」

「…右に同じ、『はやりやまい』も仕事内容に猜疑ございません」

その言葉を聞いて名嘉阜は軽薄そうな顔を微笑ませて、掌で地面を指した。ラーメンだったり野菜くずだったりの残骸が、薄汚い定食屋の床に散らかっている。

「おお~お前らならそう言ってくれると思ったわ。長うなってすまんの?頼んだもん残さず食えや」

3人は粛々と膝まづき、麵を手で掴んだり米を拾い上げて口に入れる。冷めて伸びきっていても冷をぶっかけられてべちょべちょになっても関係ない。食えと言われたのだ。米粒の1個もスープの1滴も残してはならない。地面に舌をつけ、啜る。

「あぁ~新人、そない怯えなくてもよろしいやん」

名嘉阜が後ろに待機させていた瑠璃座組の1人に声を掛けた。縁なし眼鏡の彼はまるで地獄を見たかのように冷や汗と震えが止まらない。

「盃酌み交わして、俺をオヤジ呼んでくれる家族にこないことするわけあらへんやん。こいつらはそうやないから、盃も刺青もないからこうするんやで?」

「えっ、えっ、じゃ、じゃあこの人たち、カタギ、なん、ですか」

かすれた声で新人が問いかける。それに対して名嘉阜組長は柔和な笑みで返す。

「ううん?カタギどころか人間ですらないよ、こいつら。よく見てみい?」

名嘉阜が無言で飯を食べている「はやりやまい」の頬を挟んで掴み、新人に無理やり見せる。顔面も髪も、頭を構成する要素の全てが現実味のない美人だった。

「こいつらは俺の"文楽"や。"文楽"なら見てくれは最大限良くした方がええやん?"文楽"やから自分の意思で動かすことなく、所有者である俺の命令を聞いてからしか動けんのや。なあ3号?」

「もちろんです、組長のご用命全てに従います」

3号と呼ばれた「だいきらい」が両頬を押されたまま答える。

「そゆことや、お前らは俺の家族であって人間やろ?人間やったら考える脳味噌あるはずやん、俺はそれを尊重してるってだけ~」

もちろん全てが例え話である。3人は呪いや異常施術に蝕まれてはいるが人間の体組織であるし、脳部分も存在している。だがそう訂正してはいけない。命令されてはいない動きをしてはいけない。だが…

家族ではない、その言葉だけは今でも我慢できるほど慣れてはいないな。そう思い「あらいざらい」は僅かに上目で見やる。そこには「おやじ」と呼ぶことを今まで1度も許可していない名嘉阜の後ろ姿と、彼が迎え入れた新しい家族が不気味な理解しがたいものを見るような目でこちらを注視していた。


・・・

・・・

・・・

・・・

・・・

・・・

"アビス"

大阪の地下全土に張り巡らされた異常空間、下水道の体裁を保っている。市俄会が秘密裏に利用していたが"ブルース"事件の過程で存在が財団に知られることとなった。現在は財団が機動部隊を投入して調査に当たっている。

瑠璃座組の文楽号3人は"アビス"に存在するとある一室を住居あるいは拷問監禁場所とし、また瑠璃座組からの仕事要請がない限り地上に出ることは許されなかった。


「しっかしお前もたらふく食えば良かったやろ~、なに水だけで遠慮したんや」

「いいでしょう別に、あなたほど大食いじゃないんです」

「あ~?まあワシが食うのもそうやけど"アビス"戻るんやったら地上の飯食い溜めしといた方がええやろ」

「だから、"アビス"はもう戻れんのや。話聞いとけ」

「あ~?…あ~ほうか…新しい保管場所は下水の匂いせんとこがええのお、そんだけで寝つきが段違いやからぁ」

心斎橋、時刻は23時過ぎ。大阪中の地下を張り巡らせている"アビス"を利用する者にとっては電車等の交通機関は不慣れである。3人がまず向かっているのは、問題の路地裏。

「犯人は必ず犯行現場に戻る…のおつもりですか?そんな都合の良いことは現実に起こらないと思うのですが」

「犯行は一瞬、目撃者は皆殺しや。監視カメラにはバッチリ映っとるやろうけど俺らが見れるわけもない、それで爆殺犯を捕まえるのは警察サツ財団ハイイロだけや。俺らの仕事が取られる前に、そいつらが掴んでない手がかりをつかむ必要がある」

「できるわけないや~ん!3人ぽっちで組織のナンプラーに立ち向かうのはムボーってやつやろ!?」

「マンパワーですね」

現場は駅からそう遠くない繫華街、KEEP OUTの封鎖はされているものの…見張りの警察も潜入エージェントが潜んでいる気配もない。

「ほれ見ぃ!粗方調べられて証拠になるようなモンも持ち去られてる感じやんけぇ!」

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