世界観用語:
SCP-████ (”百眼”)
”百眼”は、SCP-0000として存在するSCP報告書、並びに関連する物語の全ての観察者、操作者です。作中では、基本的に悪意があり、包括的敵対者としてのふるまいを示します。”百眼”は、無数に存在する上位次元の、各水準における (無限後退する) 全能者そのものです。自らと同じ水準では標準的な力能しか保有しないものの、下層のフィクションに対して漠然と全能性を持ちます。
”百眼”は、無限後退する宇宙階層構造を文明モデルとして認識しており、上層=下層を含む縦横レベルでの共通規範を規定しています。階層上下では全能性の水準が違うため、基本的に争うことはありません。しかし、同水準の”百眼”は、互いが所有する下層フィクションの所有権を主張したり、ときに争い、略奪と死を経験します。彼らの死体は通俗的な手法で処分されますが、下層フィクション内の人物が「バクテリア兵器」を用いることで収得することもあります。
世界観用語:
SCP-0000 (”全能逆説”)
SCP-0000は、全能存在の論理的不可能性、特に本来的に矛盾である記述への越権を含む、非合理的な改変能力の実行により発生する存在論的パラドックスです。この問題は、全能存在が時間秩序や存在可能性を普遍的に操作可能であるという意味論上の観点に言及するものであり、20XX年を起源とする断続的な異常現象の観測時点で論理的整合性の範疇から逸脱していました。
SCP-0000は、論理学・神学の超常的側面における、全能存在の論理的整合性に関係した問題です。SCP-0000は、一般的な議論の範囲では「全能の逆説」とも呼ばれる哲学的問題であり、全能存在が論理的に無矛盾であるのか、または非論理的かつ全能的であるのかなど、その正確な規定は主流科学において不確実です。しかし、以下の定義を前提とします:
- 全能者 (SCP-0000-A) は論理的不可能である出来事を取り扱うことが可能であり、
- ある時点での実在-不在を問わず普遍的に存在する/存在できるようになり、時間秩序やエントロピープロセスを無視し、
- それでも論理的に超越しているため、あらゆる自己矛盾の上で存在を正当化することが可能である。
SCP-0000は、SCP-0000-Aがある時点での存在を問わず存在し得るという非合理的論理性を支持するため、SCP-0000-Aが合意現実において存在可能であると結論付けます。この異常現象の裏付けにより、SCP-0000はある時点から/または最初期から根源的な論理性として存在し、SCP-0000-Aの存在を肯定する逆説として把持され続けてきました。
現時点で、SCP-0000が純粋かつ本来的な法則であったとする事実の確認は不可能です。そのような論理性が遡及的に適用された可能性が否定されないため、財団当局は現象に関する横断的な調査を継続しています。
世界観用語:
”水滴” (「ノードマトリクス-15」)
財団に協力的な”百眼”の一人であるとされる。しかし、”水滴”は実際には”百眼”ではなく、厳密には彼らの遺骸を用いて構築された「フランケンシュタイン」的存在であり、明確に言うと死んでいる。”水滴”は、旅路の中で”自分たち”が何者であるかを悟り、財団のプロジェクト0000に協力することで目的を達成しようとする。最終的に、”水滴”は「SCP-0000」の物語自体を残すことが”百眼”の侵入を手助けすることになってしまうと知った後、関係者の多くを虐殺し、SCP-0000の物語を「終わらせる」ことで、”百眼”の侵入経路を絶った。
世界観用語:
バクテリア兵器
通俗的な手法で処分された”百眼”の死体を分解し、その残留物を回収することを目的として開発された、作中宇宙における固有産業機械。S.W.A.N.N.エンジンと原理的に同等で、上位次元に対して介入するという点で変わらない。作中宇宙においては、財団がバクテリア兵器を大量生産し”百眼”の死体の積極的な回収を試みていた。回収は成功し、遺骸の多くはプロジェクト0000へ流用された。
世界観用語:
プロジェクト0000
”百眼”の死体、即ち「神の漂着物」を資源とする超常兵器に関する作戦である。前提として、作中宇宙は「SCP-0000」を中心として展開されているのではない。その宇宙にも様々な物語が存在し、全てが普遍的に動作している。SCP-0000は、”百眼”の連中によって形成された「作中宇宙のセキュリティホール」であり、上位次元が下位フィクションに介入するために必要とする脆弱性である。”百眼”は、送り込んだ異常現象と作中宇宙を「SCP-0000」という物語で包括的に管理しており、例えるならコントロール用のデバイスである。
SCP-0000を中心としてアクセスを広げるには、作中人物との”節合点”が必要になる。人物・組織・概念を特定すれば、SCP-0000の物語に追記することが可能である。これを作中においては概念的節合点と呼ぶ。
世界観用語:
概念的節合点
作中宇宙において、人物・組織・概念等の関係性を表現したもの。”百眼”の連中にとっては、各存在へのアクセスに必要とするドメインのようなものである。
世界観用語:
作中宇宙
「SCP-0000」における作中世界を指す。この場合、私たちが「SCP財団」として知る組織と同水準に位置する宇宙のこと。
世界観用語:
因果的閉包性
『どんな物理現象も物理現象のほかには一切の原因を持たない』という経験則。転じて、この作品においては次のような意味を持つ:
- 前提として、作中宇宙の”百眼”によって支配されている区域は各々の法則に従っている。
- 各々の全能者は互いの論理性を同時に置くことは不可能であるため、その境界が明確に隔てられることになる。
- この境界線を、内部的には論理が異なる物理現象同士になぞらえて「因果的閉包性」と表現する。
世界観用語:
空論文書
異なる因果的閉包性に存在する財団前哨基地から届いた文書は、それ自体が全能者によって操作された法則に依存しているため、本質的には意味のない「空論」文書と呼ばれる。空論文書は、一般的に情報流通システムを通じて送受信されるほか、”水滴”が自発的に送付することもある。
世界観用語:
ノードマトリクス
”水滴”を筆頭とする、プロジェクト0000の成果物。集合意識を形成しており、その本体は大規模な複合機械で増強された”百眼”の遺体である。ノードマトリクスは、自分の内部に存在する複数の人格と対話することが可能で、その断片は、作中ではチャットログとして抽出される。多くの場合、彼らは自分自身がどのような存在であったかを忘れており、特に”百眼”としての全能性や、上位次元の存在についてほとんど無知である。
世界観用語:
四神
文字数: 5081