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author - rokuroururokurouru

Poolside
and
onlooker

lap

CHAPTER 1

君はさ、夏が好きかい。
好きじゃないよ。嫌いでもない。
  
実体のない蝉が騒いで、喧しい鳴き声だけが空気に混じって満ちていた。夏、狂騒の季節。退廃の季節。永遠を謳うような自由の季節、その実"正しく謳歌する"為のメランコリーが支配する、息苦しい季節。そこに平穏はない。「僕らの七日間戦争」やら「サマーウォーズ」やらが世間を闊歩するその様は、終わらぬ戦争の季節たる象徴と言える。

気怠い夏のチェックリストを一つ一つ丁寧に埋めたところで、暑さと共に朽ちゆく季節の死骸を眺める頃には、きっと途方に暮れるような虚しさに満ちている筈だ。当然である。どんなに真正面から真摯に向き合っても、記憶の底にくすぶる”かつての夏”は絶えず身体をむしばみ続ける。いつまでも居るような顔をして、その癖どうしようもなく素っ気ない。夏の手のひらの上で踊るくらいならば、寂しさを独りで抱えながら喧騒を眺めている方がずっといいのかもしれない。

停滞、青春、寂寥。須く、夏。

無辜の夏はもう訪れない。

プールサイドと傍観者

第一章

文字数: 1142

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