黒の女王ジガ。
ベルベギ。
テオ。
黒の女王ムラサキ……あの、もう少し時間をかけて名乗ってくださって大丈夫ですのよ?
顔合わせてこういう機会に及ぶのは何分初めてなもんでして。ね。
ベースライン
黒の女王は決して不滅なわけでも、ましてや無敵なわけでもない。作戦行動中の行方不明、正常性維持機関による殺害や封印、或いはやむをえない事情による自決などで容易く帰還不能者となる。Lost-Q、「失われた女王」として登録された同胞の数は少なくありません。当議事は現段階で確認可能なLQ事案の再リストアップ作業であり、同時に今後予定される喪失事案防止会議を想定した事例研究会となります。最初の事例が出てから何年くらい経ったっけ。12年でしてよ。12年かけてこれだけしか喪失していないなら正常性維持機関相手に喧嘩吹っ掛ける組織として上出来だが、事例は事例だ。二の轍踏んでもう一度失うヘマだけは御免だな。
前提条件
「黒の女王がいたこと」!生存している事案も含めるなら「黒の女王がいること」かしら。こいつは失敬。これ以外には特に条件無いのかな。括りが帰還不能となった女王ではなく「帰還不能事案」である事に留意してくれよ。俺もその辺の認識ちょっと危ういけど。ってことは「黒の女王の存在」と「現在何らかの理由により図書館への帰還や任務の続行が恒久的不可能となっている」かね。原因も喪失状態も突き詰めれば千差万別。リストアップ後は各タイプの再分類を提案すべきね。場合によっては定義も改めてあげるべきかしら?
実用性
同胞の喪失を未然に防ぐための戒めとしては十分だ。同時に揺らがないモチベーションとしても機能しています。この場に座る各位の知る通り、少なくとも我々3名はLQ事案へのあらゆる対応という共通目標を掲げて集った仲ですから。アドバイザーなら春海やダチュラの方が適任だと思いましてよ?あの人ら多忙なんで。そんなわたくしが常に暇人みたいな。
実例: タイムラインA-104
黒の女王ザムザ。死亡済み。俺が看取った。死因は秘術行使による寿命の急速消費でしたね。彼女の献身により今日の蛇の手は存続を許されていると言っても過言じゃない。1回くらい会ってみたかったな。女王2名体制での対GOC作戦に踏み切ろうにもすべてが遅すぎた。「長生きしてね」じゃねえんだよガキが。結局君はどうするべきだったと考える?俺がお前らと同じ孤独を共有してここに立っている通りだ。あいつにも「お前は独りじゃない」ってことをちゃんと伝えるべきだったと判断している。これは我々に対する帰属意識の欠落と、自暴自棄の精神が招いた結果でしかない。
実例: タイムラインA-104
黒の女王ベルベギ。死亡済み。私の姉です。ちょっと待て。待ちます。黒の女王はあくまであのクソ親父に捨て置かれた娘の同位概念体だ。一度世界線から失われた場合再発生なんかしないもんじゃないのか?例外はあるな。もしかしなくても君ら双子だったろ。仰る通り姉と私は一卵性双生児、本来は1人の人間として生まれる筈の存在でした。身も蓋も無い話をすると、どちらか1人が残っていれば黒の女王として機能する機構だったのです。呪術的な世界観だね。本当に聞きづらいんだけど結局何があったんだい?この世界の蛇の手と群臣を殆ど消耗するほどの激戦を経て、姉は体内核爆弾による自爆を以て当初の目標を達成しました。すなわちO5評議会員13名、及び父の抹殺です。残された財団の面影はGOCによる吸収合併を経て完全に消滅しています。妹1人遺してまでやることかね。モチベーションと功績なら理解するが賞賛は渋る。姉も私も術師の端くれ、最初からこの特性を推察していました。つまるところ「黒の女王としての目標達成において1回限りの自滅技が使える」という前提をカードとしていたことは明確です。私は姉亡き時代の蛇の手棟梁、或いは図書館に住まうであろう女王の1人として修練を積んできました。自らの手でLQ事案を引き起こしながら、それでもこの場に集う理由があったと?あります。事の顛末を知った瞬間流涙したのは紛れもない私自身です。不可逆の過ちに気付きそれを悔やむのは人生において必ず通る道の1つ。重要なのはその後どう生きるかであって変えられない過去では無い。その決心を、少なくともわたくしは認めますわ。精進なさい。2代目ベルベギ。
実例: タイムラインA-104
黒の女王ナツキ・オルムステット・ギアーズ。自己封印中。財団81管区の研究員。保護部隊に-80(“青大将”)の創設に関わった後天性超常会得者対策室のキレ者。未だ蛇の手と呼べる組織が発生していないのを鑑みるに、この宇宙では同位組織が財団の手中に収まってしまったと考えるのが妥当でしょうね。そもそも我々の同胞となる以前にヴェールと人類の保護一直線だったってわけだ。春海姐さんとの接触を経て自分の正体を知ったが結局離反は拒んだらしい。便宜上はLQ事案か。放っといてあげても良いと思うけどなぁ。父親とも離別せず財団からも追われず、人生を丸ごとひっくり返してしまうような悲劇を知らずに生きてくれるというのならそれに越したことは無いかと。これらは現時点での見解に過ぎない、とも考えられますわね。以降のイベント次第では財団との明確な敵対……それこそ機動部隊を丸ごと率いての離反が発生する可能性も大いにある。仮に事が起きた場合は再接触とその支援に徹してあげるべきよ。経過観察は必須ですね。
実例: タイムラインA-104
黒の女王朝倉涼子23歳。図書館からコンタクト取る前にチャリとの接触事故で死んでる。どう対処しろってんですか。より能動的な未確認女王の捜索発見と図書館への誘導とか……?
実例: タイムラインA-104
“元”黒の女王テオ。つまりはぼくのことだ。ちょっと待て。待つよ。初耳なんだけど。そもそも黒の女王じゃないんですか?2年くらい前から何か黒の女王じゃないらしくて。でも図書館へのアクセス権は何か残ってて。事案として登録するの後回しにしてたら何か今に至ってて。馬鹿なんですか。馬鹿だろ。馬鹿ですね。馬鹿がよ。治安が。ごめんて。あー……っとどこから話そうかな。3センテンス以内で簡潔にまとめろ。「GOCによる図書館急襲計画の一環でぼくが襲われる」「アクセス権目当てで“黒の女王”という固有レッテルを剥奪される」「強制的に黒の女王と化したGOCエージェントを捕まえようとしたら殺しちゃった」ってな具合でこう。こう。早く報告してください。ベルベギ妹と違って「黒の女王じゃなくなった」ってステータスはそれなりに戦略的価値があるのと違うか?そもそも何を以て剥奪されたレッテルの消滅を知ったんだ。何か自分がしがらみから消えたなって実感だけ確かにあって。あと蛇の手が凄い勢いで解散しちゃったのも。マジかお前。
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