海闊市の都市風景(出典:蒼海県庁HP)
対ネクサスプロトコル
FP-13は、侵入に伴う後述の防衛機構への警戒、及び日本国政府との一般協定1、日本超常組織平和友好条約2、超常フリーポート保護法に基づき、財団による機動部隊の展開、必要以上の政治的介入と経済活動の妨害、住民の拘束・収容3、FP-13全域への侵入、接続地点の閉鎖は制限されています。
FP-13に関する業務は下記の地区ごとの接続地点に対応する各収容サイトに割り当てられます。全業務の主導・統括は海闊国層地区を担当する長崎総合研究・収容サイト-81NBが担当し、FP-13への未知の接続地点の捜索は九州・島嶼地域統括サイト-81QIのネクソロジーセクションと合同で実施されます。
説明
蒼海県
| 国 | 日本国 |
|---|---|
| 地方 | 九州地方 |
| 海洋 | 東シナ海 |
| 面積 | 不明 |
| 人口 | 350,000人~ (推測) |
| 人口密度 | 不明 |
| 県知事 | 狂錬 茂羽場 |
| (9~11代、2020年〜) | |
FP-13("蒼海県")は日本国九州地方及び東シナ海に点在する接続地点から侵入可能な異常空間に位置する、多数の超常コミュニティの総称かつ連合体です。連合体は日本国の地方公共団体の一種である「県」に酷似した体制で運営され、住民は異常性保有者を含む人間、亜人種、知的生物、口碑実体、神格実体などで構成されています。
領域内の生態系は海中での生態を維持した状態で空中・地上での活動に適応した海洋生物4で構築されており、これらの生物は財団によってRY-13に指定されています。5それらの生物たちが本来生息しているはずの海洋地帯と市民以外の陸上生物6は現状未確認です。
また、地理的な異常性として領域内の方位が基底現実と上下逆転している他、内部の空間は異常・非異常を問わず電子機器類の機能が十全に発揮されない故障の発生率が高い性質を持ち、高度が高いほど、あるいは後述する深層であるほどそれが顕著になります。そのため、FP-13の技術・文化レベルはやや遅れており、異常・非異常問わない代用技術の発展や各所インフラや設備に超常技術の使用が見られるものの、例として都市の外観などは平成中期のものに留まっているなどの問題が領域内で挙げられています。
FP-13への接続地点は九州島、琉球諸島、東シナ海に多数存在しており、特に九州西部に集中している傾向にあります。接続地点は海闊国層地区の土地神ゲ二ウス・ロキを中心とした、領域内の神格実体と見られる存在群による防衛機構が機能しています。この機構は社会的弱者に対する差別主義や異常存在に対する収容・破壊などの行為を肯定する人物、またはその様な思想を方針とする組織に所属する人物がFP-13に侵入を試みた場合に活性化します。該当する侵入者は侵入に成功せず失踪し、失踪から3日~5日が経過した地点で侵入地点近辺の海洋に溺死体として漂着します。
この機構は過去の事例から完全なものではなく、条件を満たす存在を全て排斥できるものではないと推測されています。また、防衛機構が作動するタイミングは該当人物の侵入時のみであり、一度侵入に成功すれば同機構に対する警戒は不必要です。しかしながら正常性維持機関に対しては特に優先して作用している傾向にあるため、財団職員や世界オカルト連合構成員による侵入事例は極僅かです。仮に侵入出来た場合も領域内部の自警組織の目を潜り抜ける必要がある他、侵入後に素性が発覚した際に無要な衝突や政争への波及による超常社会の情勢悪化も予想されます。
FP-13は北米最大の超常都市であるスリーポートランドや東アジア最大級の超常コミュニティの一角である中国地方の穴蔵を優に超える人口を抱えているのにも関わらず、超常社会上ではそれらと同等、もしくはそれ以下の規模のコミュニティとして扱われる事例が殆どです。
以下の情報はレベル3/FP-13クリアランスが要求されます。
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財団記録・情報保安管理局より通達
以下の文書では、特に断りのない限り「FP-13」は現在の蒼海県に対応する地理的領域を指しています。また、必要に応じて現代語訳・和訳が加えられており、一部原文と異なる可能性があります。
— RAISA管理官、マリア・ジョーンズ
神話: 綿津見神宮
かつて外の天下なる葦原中国あしはらのなかつくには国津神くにつかみの手にあり、海はその一柱なる綿津見大神ワタツミノオオカミの手なりき
されど国譲りにより天津神あまつかみに国土奪はれ、海も須佐之男命スサノオノミコトの治むることになりき綿津見大神ワタツミノオオカミは海の底へと逃げ、よすがにてこの大地創りたまはりき
それが龍のゐる宮にし海の遥か奥の宮、即ち綿津見神宮わたつみのかみのみやなり書-三九八『綿津見』 - 木易蔵書閣より
古代: 竜宮伝説
FP-13は後述する深層によって分断されており、各地の集落の経済・交通面での結びつきは弱く、領域としての一体性には欠けていました。
各集落はむしろ接続地点を通じた基底現実との結びつきが強く、居住者の多くは呪術社会の周縁にいた集団や旧来の伝統や儀式などを色濃く残した集団、安住の地を求めて彷徨ってきた被差別身分の集団や蒐集院や五行結社などの手から逃れてきた人間または知性生物などであり、文化的多様性のある小中規模のネクサスの集合であったと言えます。当時の蒐集院は正常性維持の観点からFP-13が。特に筑紫別院を率いてた霊代氏はFP-13を蒐集院の管理下に置くことに躍起になっており、
中世: 狂錬一族の台頭
“太閤の遺産”封印場所につながる坑道(2010年撮影)
当時の鎌倉幕府は日本列島中の異界7の調査と支配を推進しており、各地に配置された奉行組織を拠点に未発見の異常領域の支配を試みていたとされています。
FP-13もまた例外ではなく、幕府傘下の武士たちによる襲撃が日夜繰り返されるようになりました。地理的要因によって侵入こそ防げていたものの、・鎌倉幕府と
・元寇において戦果を挙げた狂錬家だったが、褒賞をもらえなかったどころか
近代: 蒼海県の命名
狂錬家は蒐集院と五行結社への対抗、及び竜麟鉄の採掘事業を独占し更に押し進める事を目的に、1890年にFP-13を正常性維持機関が手出しできない特区として政府の保護下に置く様に日本政府に進言しました。
この進言は当時発足された大日本帝国異常事例調査局に対し多額の援助と一族の有力な戦術家や戦闘員の派遣及び一部技術・資産の提供を行うことを対価に受理され、その際に海闊国及び領域内の全ての集落は名目上日本政府の施政下に入ることになります。「蒼海県」という名が使われるようになったのもここからであり、施政下に入った際に廃藩置県の対象となった際、当時の狂錬家の当主である狂錬武鳴が竜宮の人々が目指すべき理想の地を海に準えて表す県名が良いとして名付けたのが由来とされています。その後の蒼海県は目覚ましい発展を遂げ、海闊市を中心に鉱山町として大きく賑わいました。特に当時のIJAMEAにとっては独自の固有兵器の制作、ハクタク計画や八重垣計画などに必要な物資の補給地点としても重宝されていたとされています。
戦前: 神音研究所
IJAMEAはNx-74を取得したものの、蒐集院による“太閤の遺産”の封印を破れなかったため、軍事利用計画が頓挫し同地に対する興味を失っていました。それ以降しばらくの間、IJAMEAはNx-74に対し異常物品管理用の小規模施設を置く以上の干渉は行いませんでした。しかし、1920年にIJAMEAが同盟オカルト連合(AOC)に加入し、統一奇跡論、そして統一奇跡論に合致しない呪詛事象の存在を知ると、俄かにNx-74への関心を取り戻しました。
IJAMEAはNx-74に呪術学研究機関・神音研究所を設置し、戌頭家の協力でNx-74の呪物、呪詛実体、呪縛者を収容し、種々の呪詛事象の制御を研究しました。
とりわけ呪詛災害は、「攻撃性の高い反因果律空間を生成する」という兵器に転用しやすい呪詛事象であったため、最重要研究テーマとされました。呪詛災害に特化した研究棟として、緒蔵地区の緒蔵温泉街廃墟群内に神音研究所別棟が設置されました。
洗脳で怨念対象を固定する人工的な大規模呪詛、白色人種のみの殲滅を目的に駆動する呪詛実体群、結界術の応用により広い屋外領域で呪詛災害を展開する技術など、様々な呪術兵器が神音研究所で考案されました。また、呪術に特化した"孤影"部隊・波組の"製造"を担当し、呪物化した兵士や呪詛実体と融合した兵士が製造されました。
しかしながら、一連の取り組みはほとんどが実を結ばず、数々の野心的研究のために払われた犠牲は、呪術学の基本たる三大アポファティコス:- 呪詛の制御困難性
- 呪詛の分類困難性
- 呪詛の客観的説明困難性
を再確認するにはあまりに大きすぎるものでした。
戦後: 血潮の大津波
サイト-81ET (2010年撮影)
バブル崩壊: 再興
血潮の大津波以降、
財団は蒐集院やIJAMEAから引き継いだ資料からFP-13を認知していたものの、当初は要注意領域Locations of Interest指定の下でShangri-Laクラス相当の対ネクサスプロトコルが施行されていたものの、
特に1998年
現代: 変わりゆくNx-74
2010年以降は耐震層鉄道の施工などによる
以下の情報はレベル1/FP-13クリアランスが要求されます。
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環境: 区分帯
蒼海県の環境は漂泳区分帯になぞらえて、概ね4つの区分に分けられます。「表層」と深層として総称される「中深層」、「漸深層」、「深海層」に分けられ、高度が上がるにつれ深海層に近づきます。が、一部では表層と相違ない高度であるにも関わらず深層とされるエリアが存在しており、特に中深層は表層の集落同士を分断する形で広がっています。
表層は領域内で最も人間の居住に適した区分であり、市街地や集落が存在しています。生息する生物は基底現実において海面表層(Epipelagic)に生息するものに類似しています。電子機器類の破損現象も緩やかであり、定期的なメンテナンスが必要な程度です。
深層は中深層、漸深層、深海層の総称です。生息する生物も基底現実においてそれぞれ中深層(Mesopelagic)、漸深層(Bathypelagic)、深海層(Abyssopelagic)に生息するものに対応しています。いずれの層も様々な要因で人間の居住が不可能であり、これらの領域では一般レベルの電子機器類は機能を喪失、最悪の場合致命的な破損に見舞われます。
一部の地域では地上でありながら深層環境となっている箇所があります。特に中深層は蒼海県の地上を分断する形で広がっているため、領域内の交通を困難なものとされていましたが、近年では耐深層鉄道の発達によりこれらの問題は解消されている傾向にあります。
深層には機械アノマリーの素材に適したレアメタルが埋没しているほか、特異な生物や"マリンスノー"などの観光資源も豊富であり、こうした深層探索を目的とした人口流入と経済成長がここ数年継続しています。
地域: 大表層
表層の中でも特に広大な面積を持つものは「大表層」と呼称され、
・海闊層
長崎県を中心にアクセス可能。県の経済活動の中心地。
領域へのアクセスポイントがここに集中している関係上一番発展しており、県庁所在地である海闊市がある。・志賀層
福岡県西部を中心にアクセス可能。中心部は夜市的なイメージで、屋台がめちゃくちゃ多い。
近年、新銀河鉄道や日本擬存鉄道が止まる駅が施工され、穴蔵やとよほなどの国内の超常コミュニティとの交易が盛んになってきている。・紫摩層
接続地点が特に東シナ海の方に寄っている。何なら中国から直接行けるのではという説も。
中国・朝鮮系の人間が特筆して多く、国際色豊か。異国情緒な風水建築や中華街が立ち並ぶ街並みが見られる。
西の深層には異常金鉱である巨大な山岳地帯が存在し、『山海経』にて語られる蓬莱山の伝承を生むに至った。・葦船層
鹿児島県を中心にアクセス可能。集落は過疎化が進んでいる昭和の街的なイメージ。
基底現実から流れ着いた水子霊を鎮める風習が根付いており、子宝に恵まれない女性の子宮に水子霊を植え付けて妊娠させられる呪術が伝わっている。
近年ではアウターオーサカへのポータルが開く現象が度々起きており、ブランクホールはその影響で蒼海県へのアクセス手段を確立した。・儀来層
沖縄・奄美からアクセス可能。一番の田舎。
独自発展した文化やサンゴ礁などの観光資源が豊富だが、諸々の事情でここだけ治安が特筆して悪い。
以下の情報はレベル3/FP-13クリアランスが要求されます。
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敵性指数: 2 (中庸)
概要: 海闊超常技術高等専門学校(海闊高専)は、海闊国層地区の海闊市に位置する超常高等教育機関です。日本国の学校教育法における高等専門学校の形態を採用しており、パラテック技師の育成・輩出を目的に活動しています。工業系、情報系、生物系などの多様な技術分野に特化した学科や学習指導要領におけるクラブ活動/部活動に当る生徒同士のコミュニティなどを多数内包し、その中には財団が警戒・注視する要注意団体の技術、資産、理念などを汲むものも多数確認されています。
パラテックバブル崩壊後にFP-13のNBRに注目した超常企業団体の技術の接収8、及びパラテック知識を有する住民を増やす事を目的として開校が進められ、IJAMEA旧海闊基地の設備と敷地を改装する形で2000年4月1日に
トリスメギストス・トランスレーション&トランスポーテーション
敵性指数: 1 (友好)
概要: トリスメギストス・トランスレーション&トランスポーテーション(略称:Ttt社)は、世界各地の神話・伝承に関係した名称を名乗る有知性異常存在によって構成された企業団体です。
FP-13においては多数の子会社を設立しており、本拠地は
敵性指数: 2 (中庸)
概要: 蓬莱建工集団は中国・宋代の風水師集団に起源をもつ企業団体です。風水思想に基づく奇跡論・呪術を用いた異常建築を主力事業とし、その一部はクイヤン派のものを汲んでいる可能性が指摘されています。
第二次世界大戦後、毛沢東による「破旧立新」政策から逃れた後、当時壊滅状態にあったFP-13に流入して以降は紫摩層地区を中心に集落の修復に従事していました。パラテックバブル崩壊後は狂錬家と共にプロメテウス研究所の残党を積極的に取り込み、事業領域と規模を拡大し蒼海県屈指の建築企業へと発展しました。また、海闊高専の建築学科設立の際に人材・技術的な出資を行っています。
財団が蓬莱建工集団を認知した当初は正常な方法での資材調達を除き活動範囲が蒼海県内で完結していたため、正常性維持に対する重大な脅威とは見なされていませんでした。しかし近年はFP-13の経済成長や外交政策の変化に伴い、日本と中国を含む東アジアの多数の地域への進出を開始しています。現時点で財団を含む正常性維持機関への敵対行為や進出によるヴェール政策への影響は確認されていませんが、同団体の事業が一般社会に露出する可能性が高いことから適性指数を制定し、中国支部を始めとした多数の支部と連携して監視に当たっています。
敵性指数: -1 (未定義)
概要: D-PiXseaはインターネット、特に"ダークウェブ"と呼ばれる領域にて出現する異常存在の総称です。多くの場合は"Jellyfish"の名称で出没し、それ以外でも全てにおいて海洋生物の名称を有しています。
財団はこれまでに確認・言及されたD-PiXseaを以下の種類に分類しています。
パターン1: 『ネットの海』に対する一般社会のイメージが形而上・電子世界上で構築された際の副産物9
パターン2: 思考パターンを有する高度な人工知能
パターン3: タイプVI霊的実体
パターン4: SCP-1479-JPこれらの内、パターン3の一部はRY-13を起源とする可能性が浮上しています。FP-13は地理的要因により電波を用いた通常の通信が困難であったため、代用として1990年代から霊子通信に分類されるネットワーク技術が独自に規格化されていました。サイト-81UO研究・開発セクション所属の谷口研究員はパターン3のD-PiXseaを「死亡して霊体化したRY-13の一部が霊子通信の波に乗って基底世界のネットワークに流れ着いたもの」であると提唱しており、実際にパターン3と思われるD-PiXseaには自らの故郷としてFP-13と思われるロケーションに言及する個体が複数確認されています。
敵性指数: 0'/1 (吸収済み/友好)
概要: 筑紫別院は蒐集院の九州地方におけるヘゲモニーです。霊代氏を筆頭に率いられ、統括地域の多くの寺社と連携してアノマリーの蒐集活動に当っていたとされています。戦後は他の蒐集院施設と同様に財団に吸収され、主要拠点はサイト-81QAの前身となりました。
霊代氏は自らの一族が綿津見大神を祖とすることを理由にFP-13の領有権を古くから主張し続けていました。一族の蒼海県に対する執着は強く、筑紫別院の資産も動員した強硬的なアプローチは狂錬家を始めとしたFP-13側の勢力と武力的な衝突をしばしば引き起していたことが判明しています。
現在の霊代氏、及び旧筑紫別院にあたるサイト-81QAは、超常社会への無用な衝突や影響の回避を目的として、JAGPATOとの協定を機にFP-13の領有権の主張を公的に撤回しています。以降サイト81QAは志賀層地区に関する業務を割り当てられ、本来の収容活動と並行してFP-13の監視・情報収集を行っています。
なお、霊代氏は他の蒐集院の構成員と同様、幾度に渡るFP-13への侵入に失敗しています。主な要因として、他の構成員同様正常性維持機関であったからという理由が主に挙げられていましたが、神話・民俗学部門の一部職員からは元来にあたる海代氏が祖神である綿津見大神を何らかの形で裏切った為という説も支持されており、依然真偽は不明です。
敵性指数: 0’/3 (残党活動中/有害)
概要: 大日本帝国異常事例調査局(IJAMEA)は旧日本軍系超常機関です。1888年に発足した当組織は、それまで日本国内で分散的かつ迷信的に認知されていたアノマリーを科学的に統合し、軍国主義に基づいた日本の近代化を促進することを目的としていました。
敵性指数: 3 (有害)
概要: 狂錬一族は九州の呪術社会において戦国時代初期から靈代氏に匹敵する勢力を保った血縁集団です。数多くの超常勢力との抗戦記録が各地の文書に残されており、多数の異常な武術・戦術、武器アノマリーや兵器に転用可能な技術の取り扱いに長けています。その特徴故に数多く存在する日本の超常旧家の中でも抜きんでて凶暴かつ獰猛と評されており、超常コミュニティではしばしば
狂錬一族は元寇の際に
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