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パラドックス文書 改訂001

評価: 0+x
blank.png

以下の文書は、財団指定の異常な脅威による生成物であり、現在パラドックス文書001として記録・改訂されています。パラドックス文書001は、財団エリア-58の総合通信局に勤務する職員、ジミー・ウォン司令によって 協定時間2089年03月01日 に最初に作成されたことが確認されており、その後の複数回の編集を経て現在の版に改訂されました。本文書の説明は部分的に不正確であるか/または精査されておらず、本ファイルが作成された直接の地点に保留する形で保存されています。

ウォン司令は、当時の監督評議会の命令に基づき、財団支部間の記録物転写と調査を命じられていました。その調査の過程で、日本支部で記録・保存された特例級アイテムおよび関連プロトコル・ヴェルダンディの収容違反と秩序関係の異常を検出し、この調査を目的とした通信オペレーションを開始しました。

通信オペレーションの転写物が以下に目録化されます。

   ビル・ムーア、エリア-58 管理官

目録作成開始
総合通信局の証言に基づく

9999+/12/01
反復+0000032から発信された、長期通信ログの抜粋。

君が読んでいるものは前任者のメッセージだ。そして、君が触れているのは我がオフィスだ。

ようこそ、総合通信局へ。まず手始めに、偉大なる財団使命の下に君が選抜され、エリア-58の類稀なるプロジェクトに参加したことを率直に称讃しよう。おめでとう、君はプロジェクトの最大の後見人として選ばれた。その事を誇りに思うだろうが、その前に君にやるべき事を知っておいてほしい。

君に与えられた任務は、君の就任時期における新たなデータベース移行の作業と分類、そしてアーカイブ化の一連の流れ。それに加えて、以下に列挙されるアノマリーである、SCP-001-JPの報告書を読み、審査してほしい。君はこの文書を読んで、文書全体の完全な不整合性と不可解性について気が付くだろう — それでいい。大事なのは知ることだ。

加えて、君はSCP-001-JP、つまり財団日本支部、81管区からの共有データを分析して、これを正式な国際ファイルであるSCP-001として記録する必要がある。SCP-001スロットへの登録はこれが初めてじゃないが、重要であることには変わりないので、そのつもりで取り組んでほしい。

SCP-001-JPは、かつて時間関係の秩序を改変する強力なアノマリーとして認識されていた。だが現在になって、新しい解釈とともに潜在的な問題が浮上すると、このアノマリーを精査しなければならないという課題が明らかになってきたのだ。君にはそれをお願いしたい。

少し、昔の話をしたい。君はジョン・マクタガートという人物を知っているか?ケンブリッジ大学の研究員で、かつて宗教哲学を主要な分野として解釈を行った人間の1人だ。彼の哲学的論文の1つに、「時間の非実在性」というものが存在する。君が従事するにあたって、参考になるかもしれない観念の1つだ。この論文に関する…あー、個人的な思想を深く捉える必要はない。重要なのはフレームワーク、そう、漠然と構造を知ることだ。特に、現在や未来、過去に関する時間論としての観点を。

時間とは、3つの観点からなる挙動だ。1つは主観、もう1つは固定関係、最後に、それらを包括して順序関係を定める、観測者的観点。それぞれをA-B-C系列と呼び、マクタガートの時間論においては、この3つの成立が「時間」を形成している。

A系列は、未来から現在、現在から過去への時間の流れを理解する我々の意識を意味する。B系列は、全ての物事が起こる/起こり得る正確な時代を記録する、確固たる現実的事象を意味する。そしてC系列は、我々の意識も、現象も個々では成り立たないため、それらの順序関係を示す「神の」視点を意味する。彼の時間論では、これらの複数の視点から時間を眺めることで、時間秩序が構築されているのだと主張された。

だが、この世界には異常が付き物だ。何らかの要因で時間を跳躍する存在が現れたり、時間関係の矛盾が生じるような事が起これば、この世界はどう機能する?タイムパラドックスを防ぐために、タイムライン全体が破壊されてしまうのか?…答えはノーだ。我々は存在するし、ただしパラドックスも存在する…彼らはそれほど不幸に思っていないようだが、な。

そんな訳で、我々は現在SCP-001-JPと呼ばれる時間関係のアノマリーを利用して、この秩序関係の調査に乗り出している。出来る事なら何も発見したくないんだが、実際にはそういかない。何事も上手くはいかないものだ。

君が前向きに考えてくれるのなら嬉しい。新しき君の友人として、君に忠告すべきことを忠告した。

   ウォン

調査のため、クリアランス制限が除外されました

ITEM#: 001-JP
5/Prov.
ACCESS PENDING
オブジェクトクラス:
truculent
{$secondary-text}
{$secondary-class}
サブクラス:
p
管理組織:
sc
アイテム番号: {$item-number}
レベル5
収容クラス:
{$container-class}
副次クラス:
{$secondary-class}
撹乱クラス:
{$disruption-class}
リスククラス:
{$risk-class}

以下のファイルは複製された第二次改訂版です。更に古いバージョンを閲覧するにはこちらを参照してください。

注: 本ドキュメントは保留中のものであり、転写物の古いバージョンにおける識別子を変更していません。”SCP-001-JP”は、ドキュメント全体における”SCP-001”の更新前の内容を説明するものです。SCP-001-JPは、現時点ではもはや運用されていません。SCP-001-JPは、Truculentクラスに定義される予測不能な異常現象の性質のために、調査目的で保留されています。アイテムの収容プロトコルは、追って変更があるまで未定義を保たれます。

SCP-001エントリは、全支部間での共有により定期走査され、転写および複製の過程における異常が確認された場合に、調査ののち支部ごとの置き換えが実行されます。今回の事例では、日本支部 (81管区) におけるデータベース異常が検出され、SCP-001エントリ転写・複製であるSCP-001-JPエントリの不整合が確認されたため、調査が開始されました。

medium.jpg

SCP-001-JP

説明: SCP-001-JPは、█████社製のアナログ式壁掛け時計と概念的関係性を持つ/或いは単に類似性を持つ偽造された物理オブジェクトを示します。数字や目盛りの表記はありません。このオブジェクトの概念および素粒子レベルでの解体試行は理論的可能性を示しますが、オブジェクトの多数の有用性のため望まれません。

オブジェクトの外見的性質は、それ自体の秒針部分が最接近者の心拍数と同期するという、構造上の異常を示すに留まります。この異常現象は、オブジェクト自体の破損、形骸化、または機能的不全の傾向を無視して実行され得ます。

SCP-001-JPと心拍が連動していたヒト(以降“SCP-001-JP-A”)に心停止が発生した場合、SCP-001-JP-Aの心機能の回復とともに、SCP-001-JPを設置した室内を除く基底現実上の存在及び非存在が全て静止します。例外として、SCP-001-JP-Aを除くヒトは壁面内部に存在していても静止します。

[…] SCP-001-JPによる基底現実の静止は、動体の心拍の恒久的停止により終了します。

   SCP-001-JP転写物からの引用

オブジェクトへの以前の理解に反し、上記の主張は現在では誤りである事が確認されています。SCP-001-JPは、最接近者の心機能もしくはその不全に関係せず、何らかの要因により致命的損傷を受けた知性.実証実験結果は、SCP-001-JPのふるまいが各生物種に与える影響に関係なく、現時点でヒトのみが影響を主張できる唯一の生物種であることを示します。すべてに対して発生する、主観的な時間経過関係の異常としての本質的な機能を持ちます。ここでは、その異常現象を経験可能である個体を、量子力学的観点から”連続体”として呼称します。

SCP-001-JPは、特定の連続体がある要因により死亡するまでの経過時間・体験を、事実上無限に拡張する主観的な現象を指します。この現象は、主観的な体験を再帰的に延長し続けるため、ある時点で主観的体験が有限の時間を上回り、連続体が主観的に死亡しないという一連の異常現象を誘発することが確認されています。この現象は、連続体の本人にとって終了することのない時間を体験させるため、本質的なTKクラス-世界静止シナリオとして機能します。この現象の詳細は、所定の反復にて標示されています。

起源: SCP-001-JPは、2019/03/31における当該オブジェクトの軽微な収容違反による職員の喪失に基づいて発見され、調査の結果としてサルベージされた文書から、本質的な異常性が解明されました。本報告書においては、関連する初期の関連理論を平林理論として扱います。この平林理論は、後の特異点研究所・超常技術長であるアローラ・バーク技師によって再構築され、新たな観点から現在の異常性を解明することに成功しました。

2022年までに、現在のSCP-001-JPを応用した対脅威シナリオ作戦手順である「プロトコル・ヴェルダンディ」が制定され、オブジェクトは運用のため保管されるようになりました。

注: 現在の正確な情報によると、「プロトコル・ヴェルダンディ」に該当する手順は削除されたか、凍結されています。本記述に関係する重要な資料が補遺001.Iとして既に展開されています。

補遺001.I: 事象前会議

特異点研究所 会議ログ-J8Q1

参加者:

  • ビル・ムーア管理官、エリア-58 管理官
  • ジョン・モリス管理官、特異点研究所 現室長
  • アシュレイ・ブラウン管理官、エリア-58・時間局 管理者
  • ジミー・ウォン司令、総合通信局 オペレーター
  • O5-1、他多数

前文: 2089/03/01に、監督評議会および特異点研究所の複数のメンバーを中心とした機密の動議が開催され、SCP-001-JPの現在の運用方針について審議が行われました。この審議は、特にSCP-001-JPの応用を中心とする対災害プロトコル「ヴェルダンディ」の用途・用法について確認する意図によるものでした。

«転写開始»

<5名を含む関連職員は、研究所施設内のオフィスにて集合し、それぞれ着席している。>

ムーア管理官: 今一度、ご説明願おうか。我々が管理するのは管轄内のオブジェクトだけであって、他の管区に関するアノマリーを収容する義務は生じない。我々は便利屋ではない。

ブラウン管理官: では、みすみす他のアノマリーの収容違反を見逃して、引き起こされるインシデントに何も対処しないと言うのかしら?少しは分かるでしょう…融通が利かないのね。

ムーア管理官: おいおい、私たちは共働しないと宣言したわけでもあるまい?君は私たちに話をしてくれさえすれば良い。それがこの議題に繋がるだろう。

ウォン司令: こちらとしても、現状を教えていただきたいものです。SCP-001-JPの現在の課題点はどこに存在するのでしょう?どれ程のもので?

ブラウン管理官: 最初から説明しないといけませんか?その — これで4回目ですが。

ムーア管理官: アシュレイよ、あの説明の節々を理解できるように努力したつもりだが、果てしなく壮大で理解に苦しむレベルだったことは述べておこう。

<ブラウン管理官が無言で立ち上がり、プロジェクター前面まで移動する。彼女は少々不服そうな態度でプロジェクターを操作し、開口する。>

ブラウン管理官: では — 何度目でしょう?やはり5度目?私はエリア-58・時間局異常調査課の管理者を務めております、アシュレイ・ブラウンと申します。本日はお集まりいただき — ええ、やはり本題をさっさと説明しましょう。

medium2.png

ブラウン管理官: 私どもが協議すべきアイテムは、これまで財団日本支部、第81管区にて収容されていたSCP-001-JPです。本アイテムは、死亡直前の人間の主観時間を延長することにより、ある時点で思考時間が時間制約を上回るという特異性を持つと考えられており、これは完全なオメガポイント理論の仮説に当てはまるプロセスを実現する存在として知られています。

人間の思考が無限に加速すると、思考能力は時間制約を超越します。この可能性は、これまでの「プロトコル・ヴェルダンディ」にて発見・解明されており、その可用性から頻繁に用いられていました。注目すべきことに、SCP-001-JPの発生起源はこれまでのところ不明であり、どのような観点から収容に至ったのか明文化されていません。

モリス管理官: ああ、収容経緯の喪失だな。そして私たちは、このプロトコルの脆弱性について議論するために来た。教えてくれ、ヴェルダンディの脆弱性とは何だ?

ブラウン管理官: 論理的整合性に関するものです。もっと噛み砕いて説明しますとですね……

<プロジェクターが更に操作される。>

ブラウン管理官: SCP-001-JPは、その説明のように実質的無限の思考時間を与えるものです。ヴェルダンディは、当事者が何らかの要因で本当に死ぬまでの決断の間、長い思考時間と幻覚体験を経験します。プロトコル中の当事者は実際に物理的性質に触れることが可能ですが、それらは今のところ、思考時間の中で演算される幻覚に過ぎないものであると判明しています。

モリス管理官: つまり、彼らは死の寸前から一歩も動けないということか?彼らが追体験した停止時間中の記憶は、全般的に幻覚のようなものであると?

ブラウン管理官: はい。彼らは何も動作しはしませんし、プロトコル中の打開策を分析し報告するシステムによって補助されない限り、彼らの死は基本的に無意味です。ここが、従来の平林理論における重大な差異です。

ムーア管理官: 今一度聞こう、ヴェルダンディの脆弱性はその何に存在する?

ブラウン管理官: 従来の理論と同じく、プロトコルを不死者に適用することはできないという点に類似します。不死者には死の概念が存在せず、思考時間は無限に過ぎ去るため、これの終端が存在しないことになります。一般的には、これはTK級の因果違反を発生させるでしょう。

しかし、問題はそこにはありません。より深刻なのは、3つの観点から構成される特殊性のある時間論において、ヴェルダンディ・プロトコルは全般的に矛盾を…パラドックスを持つ手順であるということです。仮に、プロトコル中に自決を躊躇った被験者が存在すると考えましょう。この場合は、前述のTK級因果違反と同様、思考時間の終端である死のポイントが定義されないのと同義ではありませんか?

ウォン司令: ああ、死を躊躇えばそうなりますね。ただ、どのような場合でもプロトコルに違反してはならず —

ブラウン管理官: これはプロトコルに限定した話ではありませんよ、司令。これはタイムパラドックスなのです。より視野を広げてみましょう — 例えば、ある時間順序においてプロトコルを発生させた被験者が、思考時間中に死ぬことができず、その後も永遠に生存し続けるシナリオが発生したとします。

こうなった場合は、被験者の意識が無限の時間を経験するのに対して、我々の主観時間は1秒たりとも進行しません。あるいは、ブラックホールの地平線問題と同様に、我々の時間は進むが被験者の時間は止まりつつける…どちらにせよ、時間順序関係の圧倒的なパラドックスが発生することになるのです。

ウォン司令: そりゃ空想の域でしょうな。実際に見るまで —

<沈黙。>

ウォン司令:見たのか

ブラウン管理官: 司令、私がこのプロジェクトに何十名を招待したのかお忘れですね。

ムーア管理官: 正確に記録させろ。この件で、ヴェルダンディで、一体何度のタイムパラドックスが発生した?そして、それを補正するための自然循環はどのように機能した?我々は —

ブラウン管理官: — 2034名。2034名の被験者がタイムパラドックスを発生させたと考えられます。そして、2034回以上の正確なタイムパラドックスが発生しました。

<沈黙。>

ムーア管理官: おお — 神よ。いや、その何割でCK級の再構築イベントが発生した?場合によっては直ちに —

ブラウン管理官: 修正の必要はありません。

ムーア管理官: 因果違反が —

ブラウン管理官: — 因果違反は起こってなどいません。いいですか?これが議論の課題点です。プロトコルにおける除外されたバックアップシステムには、2034回の正確な実行記録が存在します。しかし、その全ての被験者についてのデータが存在しない点については、注目すべきでしょう。

ウォン司令: 被験者は消失したのか?

ブラウン管理官: はい。考えられるどのような痕跡をも残していません。これが、ヴェルダンディの重大な脆弱性の所以です。現在のところ、時間局ではこれらの現象を包括してEE-0001と呼称しており、タイムパラドックスのもたらす特定存在の消失現象であるのだと考えています。EE-0001の力能は、エントロピー則に基づけば被験者を削除することは不可能であるため、恐らくは別の場所に放棄されたのだと思います。

EE-0001の性質は深く究明されていませんが、考えられるのはこれらの可能性です。EE-0001の影響により消失した存在のエントロピープロセスが、どのように変化するか観測する方法はありませんし、我々にはそれを止める手法が存在しません。

ウォン司令: もっと問題について知る必要があるな。教えてくれ、軽微な因果違反であれば大した問題は起こり得ないはずだ。どうしてこれを喫緊の課題の如く扱っている?何が起きている?

<沈黙。>

ブラウン管理官: EE-0001というパラドックス回避の自然現象は、ある時間論の観点から更なるパラドックスを引き起こします。EE-0001は被験者の存在そのものを抹消しますが、この時間論に基づくと、その抹消は歴史の固定事象として残存し続け、他の時代における同一個体の情報パラドックスを引き起こします。

ウォン司令: ああ、だから回避するために、遡及的に存在が削除されるんだろう。

ブラウン管理官: 遡及的に存在が削除されれば、我々はここに居ませんよ。

<沈黙。>

ムーア管理官: そうか、CK級の再構築が起こるのか?

ブラウン管理官: ええ。しかし、実際には起きていません。我々はこれを調査する過程で、EE-0001が本質的には自然現象ではなく、人為的で、我々の各自の時代を再構築しないように適宜に法則を改変したものであると考えるようになりました。我々の主観的な時間が死んでいないのは、そのせいだと。

モリス管理官: 要は、タイムパラドックスは完全に自然緩和する事が無いため、人為的な抑制によって、各時代における矛盾を回避することにしているという事か?

ブラウン管理官: ええ。そして固定事象が残るため、パラドックスの発生した時代で常に改変が行われ続けており、我々は流れる時間の中で、それを一瞬経験したのです。隣接する過去-現在-未来にかけて、相互に影響し合っているという点で、この方法は特異なものであるのでしょう。

<プロジェクターが操作され、1枚の画像が提示される。>

ブラウン管理官: 我々の体験する時間というのは、主観的な意識に基づくものです。我々は、無限に続くフィルムテープの1コマ1コマの中に瞬間的に滞在しており、1瞬が経過すると次のフレームへ、次のフレームへと進行しています。これが時間経過であると説明されます。

我々の意識というものが単一であるという主張は、元来の多元宇宙論において否定されており、この議論は特に「聖典は存在しない」というフレーズで認知されているものと思います。我々は、フィルムテープの一瞬一瞬に異なる意識として存在しており、これがマルチバースのように展開されています。

ある時点でパラドックスが発生すると、EE-0001が矛盾となる要素を削除し、その瞬間から要素は存在しなくなります。更なるフィルムテープの移動で、この削除の要素は同じ時間・同じ瞬間に再び引き起こされていき…この連続的な削除で、全ての主観に対して同様の現象が引き起こされることになります。これにより、全体としての再構築イベントが回避されるのです。

モリス管理官: その場合でも、問題は解決しない。もしフィルムテープの如く全ての存在が進行しているなら、EE-0001を引き起こす存在または機器は、その時期が訪れれば無限に発生され続けなければならない。全ての人材や資産は、その度に繰り越すことはできないだろう。

ブラウン管理官: 雇用されるとしたら?

<モリス管理官は怪訝な表情を浮かべる。>

ブラウン管理官: 我々がもし、固有の空間に対する接続手段を…時間と空間の外に接触するポイントを形成可能であるとしたら、その問題は解消されると思いませんか?その場合では、ある時期が訪れると一定の資産が消費され、特定の地点に対して送り込まれます。そして、新たな人材によりEE-0001が形成されるのです。

時間局の調査チームは、今後2週間以内に訪れる大規模な時間秩序関係の変動を確認しています。これが正確に何を示すものかは不明であるため、当日まで備えるほかありません。ですが、今回の仮説が正確であるとするならば……

<沈黙。>

ブラウン管理官: その瞬間、固定事象として定められた特定の人材・資産は、EE-0001により消滅します。代わりに、我々の時代が確認可能となる、新たな産業機械が出現するのだと思われます。特定の人材というのは非常に限定的であり、この中の誰かが突然消滅しても、何も不可解ではないのです。

後文: プロトコル・ヴェルダンディは、特異点研究所の多数職員および監督評議会を中心とする審議により、明示的な時間パラドックスの発生傾向がある事を理由に凍結されました。また、関係する時間パラドックスの回避のため (将来的に) 訪れる可能性のあるイベントに対応するため、新たに結成されたプロジェクトチームの監督下で、SCP-001-JPファイルがSCP-001へと変更・改訂されました。

«転写終了»

補遺終了

調査が完了しました。適切なルートに帰還し、再構成してください。

ITEM#: SCP-001
LEVEL5
TOP-SECRET
オブジェクトクラス:
radix
{$secondary-text}
{$secondary-class}
サブクラス:
pa
管理部門:
s
アイテム番号: {$item-number}
レベル5
収容クラス:
{$container-class}
副次クラス:
{$secondary-class}
撹乱クラス:
{$disruption-class}
リスククラス:
{$risk-class}
配属施設 計画指導者
神聖時間局 (時間外前哨基地) ジミー・ウォン、アシュレイ・ブラウン
研究責任者 内部部局
タデウス・シャンク、バートランド・トムリン、O5-1 (”The FOUNDER”) 時間異常対策課、歴史整合機関、時間変動機関、多元宇宙管理局、他多数
pocket-watches-436567.jpg

各エージェントに対応する、死の瞬間に紐付けられたSCP-001-A、複数の実例。エリア-58の随所に保管されている。

特別定義/Radix・Paradox: Radixクラスの指定物は、それ自体が財団の統制体系に組み込まれることにより安定化されなければなりません。(ユダヤ教に関係する・含まれるYesodクラスの置換: 詳細) また、Paradoxクラスの指定物は、関連する事象の結果および原因の因果関係を逆転させ、時間的に先立つ変化を加える可能性があります。(クラスの細分類に関係する、初期Antithesisクラスの置換に関する議論: 詳細)

特別収容プロトコル: SCP-001は、時間論上の不詳の災害であるEE-0001の発生と、発生を助長する複合的構造要素の実現のため逆説的に開発されなければなりません。開発には、現時点 (協定時間2089年08月12日) で主観的に.主観的 (形動): ここでの定義は、報告書作成時点での我々、つまりSCP財団、人類文明、または「私」「あなた」による自分自身の観点を意味する。あらゆる余剰位相空間の、「現在」として判別可能な状態、時間点。実在しない「神聖時間局.神聖時間局 (Sacred Time Station) に関する情報は未定義です。」による支援が必要不可欠であるため、恒常的かつ速やかな当該部局の設立が進められています。この設立は、協定時間2090年初旬までに完了すると試算されています。

神聖時間局は、主観世界に先立つ未来の因果関係によって保たれている、現在に対するEE-0001の保護が存在することを確認し、のち解消しなければなりません。この手順は、複数の時間点に跨って存在する複雑化した因果関係を解消することで、EE-0001の例外となり得る更なる時間パラドックスを回避する目的のため存在します。このため逆説的に、神聖時間局は設立の予定が約束されています。

EE-0001、および神聖時間局の設立目的で必要不可欠である各自の構成要素は、現在のエリア-58随所に適切に保管されなければなりません。SCP-001-Aとして後述されるサブコンポーネントは、神聖時間局を構成する各要人に対応する正確な死没時を記録する必要があります。この更なる調整は、現代に所属する特異点研究所および通常の時間局による捜査の結果と照合することにより実施されます。

wall-2602962.jpg

各要人の死没時に紐付けられたSCP-001-A、複数の実例。

本項目は2090年に更新されました。アーカイブを確認するには、財団記録・情報保安管理局への手続きに従い、ローカルディレクトリに対する所定の操作を行ってください。

説明: SCP-001は、無作為発生した時間パラドックスの影響を緩和・補償する全世界的な制御プロセスであり、あらゆる時間関係の自然緩和プロセスを代替する複合的・固有産業機械です。SCP-001は、自然界・超自然界、或いはより広義に定められる時空構造の、自然秩序によりもたらされる元来CKクラス-全世界再構築シナリオに代わり、そのようなシナリオによって発生する破壊的影響を抑制する目的で開発されました。.以降、時間の前後における因果関係の事を、量子力学的観点から「連続性」或いは時間的連続性として呼称します。

medium.jpg

SCP-001-A (最初期の実例) 。

SCP-001は、2019/03/31に発生した最初期の時間パラドックスから、神聖時間局の最後の運営期間である2099年の期間全体を制御プロセスの範囲内に確保しており、連続性喪失の懸念がある歴史上のパラドックスに対して限定的に活性化します。計画上、SCP-001は連続性を喪失するイベントの全ての発生に乗じて起動され、各時代において再出現・再構成されます.このため、SCP-001は原則として普遍的です。

前後の因果関係から矛盾する全般的な物体・位相空間・概念・存在論的実体は、SCP-001の発生と同時に収容され、候補される外次元空間 (SCP-001-B) に移送されます。理論的な虚数次元として知られる該当の領域は、想定されるパラドックス影響物の集積地点として現在まで機能しています。現在まで、SCP-001の必要とされるサブコンポーネントとして、以下の候補が存在します。


  • SCP-001-A: 神聖時間局を構成する内部エージェントの、現地における正確な死没時を示した物理オブジェクト、およびその機能的な複製物。本アイテムは、SCP-001の起動により最初に移送されるサブコンポーネントであり、未来において時間局エージェントである特定人物を誘導する目的で輸送され得る。.過去時点のエージェントは、最終的にSCP-001-Aの影響に曝露することで「主観的無限の思考時間」を経験し、死亡するか、多くの場合で死を拒絶することにより、時間パラドックスを発生させる。このプロセスを満足した過去時点のエージェントが、神聖時間局の存在する理論的虚数次元であるSCP-001-Bに転移・再構築される。
  • SCP-001-B: 主観世界から逸脱した、特殊な位相空間を内包するユークリッド次元、および内部に存在する収容施設、確保研究設備、方法論的試験空間により構成される「神聖時間局」全体の指定。SCP-001-Bとは、過去の特定科学水準において言及される予測不可能な物語型異常存在である、SCP-3309との構造的類似性を示す一般的高次元である。SCP-001-Bは、相対的過去である特定日付に約束された因果関係であるSCP-3797の機械設計と応用により、かつて存在した時間秩序関係の理論上限界を超える力能に (最終的に) 到達している。

起源: 協定時間2089/03/01に実施されたSCP財団の内部審議で、古い記録であるSCP-001-JPの元来プロトコルが凍結され、その時間パラドックスを補償するための新たな産業機械として、SCP-001および内部コンポーネントの開発・開拓が進められました。2090年に神聖時間局が設立されると、関係する収容プロトコルが過去遡及的に適用され始めました。これに伴い、古い起源を持つ時間関係の内部部門が全般的に解体・再構成されました。

   タデウス・R・シャンク、旧時間異常部門関係者

留意すべき点として、時間論に関する現代理解では、あらゆる並行する主観世界は相互に干渉不能であると考えられています。これは、多次元宇宙空間の相互作用におけるインカージョン (侵食) シナリオを回避するための暗黙了解であるほかに、神聖時間局が複数実在するという可能性について実証不能であるという事実に起因します。当主観世界からアクセス可能な神聖時間局は明確に単一であり、過去または未来の我々の観点から、他にアクセス可能な部局は存在しないと判断されています。

   バートランド・N・トムリン、上記に同じ

2090/04/12
長期通信ログの抜粋。

この場所に来て初めての通信なので、失敗していないことを祈ろう。ハロー?これが総合通信局に送られていることを考慮すると…オゥ…相手はブラウン管理官か。いや失敬、大したことじゃない。

神聖時間局の開拓は想像以上に良く進行している。時間さえあれば、この場所をより安全に管理することが出来るようになるだろう。特にRCT-Δtの連中は素晴らしいぞ!彼らは時間遡行の理論についてとてもよく理解している。不可逆的な問題が発生しないように、彼らは厳正に管理してくれている。ほんの僅かな逸脱も、新たなパラドックスを発生させてしまうからな。

君たちの部局も理論についてはよく知っているだろうから、少し驚きの事実を話そう。まず以て、神聖時間局が現実の時間関係から離脱した場所に存在していて、特定の年代に紐づかないという事は知っているだろう。この部局は、不特定多数の”未来”のエージェントから、”現在”または”過去”のエージェントに対して常に引き継がれ続けている。死期を迎える人間に代わって、固定された事象を次の主観世界が引き継ぐということだ。

注目すべきなのは、数多の主観世界は同じ歴史を受け継ぐ存在であるために、全く同じプロセスを通じて、常に全く同じ人員を徴兵し続けていることだ。これは、我々にとって過去である反復がSCP-001を受け継ぐ際に、また別の時間パラドックスが引き起こされないための対策だと説明されている。この説明を、SCP-001の前任者である、ある人物から受け継いだ。

誰だと思うよ?いや、勿体ぶる必要はない。君だ!

素直に称賛するよ。君は恐らく、未来のある時点で”こちら”に配属されるんだろう。(主観世界で死ぬ際の感覚はちょっと辛いかもしれないがな、一瞬だ。)”こちら”の君も、以前の君と変わらない性格だったよ。いや、批判してるんじゃない、いつもの冷静な…言いたいことは分かってくれるな?

   ウォン

補遺001.II: 実行ログ

前文: 以下の目録は、SCP-001の起動と活性化に関する網羅的でないリストの抜粋です。情報の詳細は、添付されたファイルを確認してください。
実行番号 039
対象: ITEM-039、無期限の破壊耐性を保有するオブジェクトの、不可逆的な解体の試みの成功による成果物。より簡潔に、エントロピー性パラドックスをもたらすアノマリーの残骸。

結果: 前後の因果関係から矛盾するITEM-039は、そのエントロピー性矛盾により引き起こされる保存則への違反を回避するため、SCP-001の起動により輸送された。神聖時間局の方法論的試験空間にて、外部への影響が無い完全な虚数次元へと更に追放され、のち自己崩壊した。アイテムの残留物は、虚数次元の将来的な消滅とともに自然に喪失されると考えられており、潜在的Decommissionedクラスが与えられた。

実行番号 1023
対象: ITEM-1023、早期に崩壊した余剰次元に所在する時空間異常。余剰次元が臨界質量密度に到達したことにより、次元単位での急速な崩壊が訪れた。

結果: 該当の余剰次元は既知の幾何学理論に影響を与える可能性があったため、アイテムはSCP-001の起動により輸送された。神聖時間局の方法論的試験空間にて、多量の無機物注入実験が行われ、最終的に安全な方法で放射により蒸発した。アイテムの残留物は、試験空間の将来的な消滅とともに自然に喪失されると考えられており、潜在的Decommissionedクラスが与えられた。

実行番号 1099
対象: ITEM-1099、SCP-001-Aの誘引に失敗した、神聖時間局元エージェントの残留物。および、未来にかけて存在するITEM-1099の全般的な概念。時間パラドックスに対する、SCP-001を用いない最初の人為的改変の実例。

結果: ITEM-1099は、広域にかけて存在自体の言及矛盾を生む可能性があったために、SCP-001の起動により輸送された。しかし、収容試行の過程で異常が発生し、SCP-001は輸送中のITEM-1099を予期せず放棄した。結果として、ITEM-1099を中心とする全般的かつ広域への概念モデルに異常が発生し、言及することにより発生する時間パラドックスが複数回形成された。

注: この現象は、ITEM-1099が将来にかけて神聖時間局の重要な地位に存在する可能性のある、特異なエージェントであることが原因だったと推測されている。歴史的事実の人為的な削除は、関係する事象の大幅な分岐を引き起こす恐れがあり、このような複数のパラドックスに帰結する現象の原因について調査が行われている。

現象調査
ケースファイル: ITEM-1099

説明: ITEM-1099に観測された異常現象は、当該アイテムの歴史的地位に基づく自己言及型のパラドックスであり、その情報の削除により回避可能であると考えられていました。

現在、この主張は誤りであることが確認されています。

多世界解釈に基づく現代の理解では、ある異常現象に関係する対象者が時間関係に矛盾しているとき、この対象者の過去または未来への行動結果は絶対的に予測することが出来ないとされています。(そのような行動結果は、時間パラドックスの範囲外である限り”基本的に”確実に予想可能です。)

この解釈によると、対象者により引き起こされ得る行動結果は、各結果の可観測量により有限の範囲で分岐します。行動結果は、対象者が取り得る全ての可能性にかけて主観世界を複数に分岐すると考えられており、これにより、主観的に観測し得ない「並行世界」の発生可能性が浮上します。

ITEM-1099の事例では、このうち最も安全で、他に影響をほとんど及ぼさない可能性が訪れたと推測されています。この結果は最悪の場合、時間パラドックスの無限発生による終焉シナリオを発生させた可能性がありました。この現象は、主観的に観測し得ない並行世界で発生したものだと考えられています。

現代の理解に反して、このような方法により (突発的に) 多元宇宙が形成される可能性があり、その影響は現在のところ未知数であると考えられます。特に、神聖時間局のような「時間に影響されない」全体構造は、この連鎖反応に対してどのように影響されるのか、現在まで判明していません。

調査は継続されます。

«実行ログを展開中»

補遺終了

[…] まあ、少し逸れた話題になるんだが、どうか責めないでほしい。俺は数あるデータベースの調査の段階で、前サイクルの神聖時間局員によって管理されていたアーカイブ情報を走査していた。その過程で、奇妙なファイルを発見した。

次のファイルは2090/07/19に発生し、その時点の会議ログを中心として埋められている。その中心人物はどうやら俺たちと同一であるらしく、これは未来に先立って生成されたのでなく、先の主観世界によって作成されていた可能性が高い。この場合、情報のみが過去に共有される軽微なパラドックスを発生させる可能性があるが、それは問題の範囲にない…

本当に問題なのは、”EE-0001”として元来から呼ばれる災害に対して、我々は現在まで何もしたことが無かったという事だ。これは本当に酷い話だ。

   ウォン

以下のカタログは、EE-0001の偽情報流布活動に反して真実を知る必要のある、特定人物の反復に対して (理解のため) 公開されています。当該カタログは神聖時間局のシステム自動化により管理され、必要となる状況・視野に応じて自動的に、かつ特定人物への特別な公開許可が与えられます。許可なき再頒布、および公開は禁止されます。

アシュレイ・ブラウン (反復+1092910) のアクセスを承認。神聖時間局へようこそ。

   バートランド・N・トムリン、時間異常対策課

補遺001.III: 初期会議ログ

神聖時間局 会議ログ-0000031・R8V9

参加者 (反復+0000031):

  • ビル・ムーア管理官、エリア-58 管理官
  • ジョン・モリス管理官、特異点研究所 現室長
  • アシュレイ・ブラウン管理官、エリア-58・時間局 管理者
  • ジミー・ウォン司令、総合通信局 オペレーター

前文: 2090/07/19、当時の神聖時間局で初期の招集会議が開催され、SCP-001の現在の運用方針について審議が行われました。この審議は、特にEE-0001として知られる不詳の時間論的災害に対処するための、最初の収容プロトコルについて議論するため存在しました。

通常、神聖時間局のエージェントは定年に応じて処理され退職します。その後、既知の時間秩序関係における「現在が2089/03/01である」主観世界に対しての通信が実施され、これにより参入した特定反復のエージェントが、新たな代替職員として配置されます。

«転写開始»

<4名は、神聖時間局の3+1疑似次元空間 時間外保護チャンバーに待機し、以下の会合に臨んでいる。>

ブラウン管理官: 助言を甘んじて受け入れるべきですね。あなた方全員。

ウォン司令: なあ、頼むよ。俺たちは強要しているわけじゃないが、助言よりも現在何が起こっているのかを正確に把握すべきだと思うぞ。

ムーア管理官: 多元宇宙管理局の人間が忙しなく動いているのとは、関係があるのか?

ブラウン管理官: そうじゃないとして、多元宇宙管理局の人間が多元宇宙以外の話題で活発化することが有り得ますか?彼らのことはよくご存じでしょう。

ウォン司令: 時間が無い。分かってるのか?1099番は可観測量に基づく多元宇宙の扉を開いたばかりだ。これから先、如何に我々の理解している時間の構造が崩壊していくのか見当もつかない — 言ってる意味分かるか!?全部だ!全部が崩壊する恐れがあって —

ブラウン管理官: — 最初から説明しますよ。ただ、少し冷静になっていただけませんか?全く、なんて時間の使い方が上手なんでしょう。

<沈黙。>

ブラウン管理官: 失礼。まず、神聖時間局の設立から間もない現状で、何が発見されたのかを報告しておきましょう。知っての通り、我々の想像する「主観世界」というものは干渉不可能かつ無限個であり、それ自体はマルチバースと明確に区別されます。その全パターンはSCP-001を介して緩やかに接点を持っており、このようにして神聖時間局を共有しています。

ごく稀に、神聖時間局を構成するエージェントの新規の誘導に失敗し、これそのものが時間パラドックスのベクターとして変化する可能性がありますね。これが1099番です。現在の収容手続きでは、原則としてこれらのパラドックスベクターを収容する際に、不確定性により数多くの可能性多元宇宙を形成します。この可能性に基づく宇宙構造の変異は、宇宙全体が微調整された結果の産物であり、未来にかけて全ての事象が固定されているという、現代の理解に基づきます。

現在、相互干渉可能である多元宇宙が、ここ以外に280以上存在します。これらの多元宇宙は、時間と空間の構造に対して優位性を持つ神聖時間局に対して独立するため、同じ思想を持つ多数エージェントの「バリアント」が、神聖時間局に侵食する結果を招いています。これが、現状の課題点です。我々は現在、我々と全く同じ構造を持つ複数の宇宙に対して協議する必要があります。

ウォン司令: 彼らに退却するよう申し出ることは出来ないのか?

ブラウン管理官: 彼らはみな神聖時間軸です。同じ歴史を辿った時間軸の複製に過ぎず、差異などありません。全員が優位性を主張する限り、全員が主導権を争うことになるでしょう。この影響は、パラドックスベクターになり得るエージェントの「バリアント」の発生により、連鎖的にパラドックスを発生させる終焉シナリオを引き起こしかねません。

ウォン司令: 彼らを退けて —

ブラウン管理官: 280に複製されたSCP財団を?彼らはその気になれば連合体となり、我々を滅ぼすでしょう。我々が現時点で時間局を占拠できているのが奇跡なのですよ。

モリス管理官: どうすればいい?私たちに何ができる?

ブラウン管理官: まず優先すべきなのは、EE-0001として認知されている、SCP-001プロセスに組み込まれる不詳イベントの原因を解明することです。これらの異常事態に先駆けて発生したSCP-001のプロジェクトは、神聖時間局の最初の反復によって構築されたものであり、そこから全てが発生しました。我々にとっての目標は、この元凶の封じ込めになるでしょう。

モリス管理官: オーケイ。何が障害となり得る?

ブラウン管理官: 先行する反復によるSCP-001の開発計画は、更に以前の開発計画に基づきます。このような論理的パラドックスは、最終的に無限後退する因果関係のループを形成する事になり、全体を通した最初の因果について特定することが実質的に不可能です。神聖時間局の指定反復よりも以前のループが存在することを考慮すると、この可能性は絶望的なものになります。

結局、現時点で可能なのは関連する事態の防止と抑制に過ぎません。これが不可能な状態に陥れば、次なる手段が求められるでしょう。そのような可能性を避けたいですが。

ウォン司令: 尽力しよう。

«転写終了»

補遺終了

私を移送しなさい。今すぐにでも。

   ブラウン

君を移送できない理由があるのは知っているはずだ。

神聖時間局は、それぞれの時代に起こった固定事象を再編する事を禁止している。定められた時代に対して定められた出来事が必要だ。私たちの先人がそれを決定している。

何者にも抗えないものだ。

   ウォン

それが我々の決めたものであるにも関わらず?いい加減なさい、ジミー。私たちには権威があり、変更の主権がある。それを制御可能なのが私たちだけであるという事を忘れないで。

   ブラウン

文字数: 45849

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