
SCP-XXXX-JPの存在するアパート(添付画像.1)
アイテム番号: SCP-XXXX-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-XXXX-JPの存在するアパートは財団フロント企業による買収を名目に封鎖されました。SCP-XXXX-JPの存在するアパートの敷地内を鉄柵で囲い、機械警備を行います。定期的に地元警察に偽装した財団エージェントによる巡回を行います。進入者を発見した場合、カバーストーリー「不法侵入」を流布したうえで退去誘導を行います。
説明: SCP-XXXX-JPは北海道留萌市に存在するアパート1の一室(203号室)です。玄関扉には「湯元観光」と書かれたドアラベルが貼られています。ドアラベルは糊で接着されており、剥がすことはできません。また、窓やドアスコープは内側から木材によって塞がれています。このため、外部からSCP-XXXX-JPの内部を観察することは不可能となっています。SCP-XXXX-JPの内部空間(SCP-XXXX-JP-Aに指定)には玄関扉を通じてアクセスすることが可能です。これ以外の手段を用いてアクセスする試みは全て失敗に終わっています。
SCP-XXXX-JP-AはSSUIS2世界重複2に指定される異常空間であり、アクセスするたびに内部構造が変化する性質を有しています。この変化に規則性は存在していないものとされています。また、SCP-XXXX-JP-Aの空間面積がSCP-XXXX-JPの内部面積と比較して大きい(もしくは小さい)ことから、SCP-XXXX-JP-Aは余剰次元的空間となっていると推測されています。現在までに行われた観測施行の結果から、SCP-XXXX-JP-Aの内部構造には「温泉が存在する」および「生物が存在しない」という共通項があることが判明しています。 補遺XXXX-JP.3を参照してください。
SCP-XXXX-JP-Aの内部に存在している温泉(SCP-XXXX-JP-Bに指定)は何らかの異常性質を有しています。SCP-XXXX-JP-Bが有する異常性質は基本的に1つだけであり、SCP-XXXX-JP-Aの内部構造の変化に伴って異常性質も変質しているものと考えられています。この点について調査が進行中です。
補遺XXXX-JP.1: 発見経緯
SCP-XXXX-JPは北海道留萌市内にて流通していた「硫黄の匂いがするアパートの部屋」という噂の調査を行っていた異常発見部門の職員によって発見されました。発見当時は「異常空間に繋がるアパートの部屋」としてSafeクラスアノマリーに指定されていましたが、その後の調査によってSCP-XXXX-JPの性質が解明されたことによってEuclidクラスアノマリーに指定されることとなりました。
補遺XXXX-JP.2: 観測施行
以下はSCP-XXXX-JP-Aの内部構造の調査を目的として行われた観測施行記録の一部抜粋です。当該施行はSCP-XXXX-JPの担当職員である箕田博士の監修のもとで行われました。記録の全容については添付資料XXXX-JP.1を参照してください。
観測記録XXXX-JP.1
観測日時: 2022/11/18 11:26
観測結果: SCP-XXXX-JP-Aの内部は森林となっており、アクセスポイントから北西に15mほど離れた地点に温泉が存在していた。SCP-XXXX-JP-Aの内部に生物は確認されなかった。また森林はブナ(Fagus crenata)の木によって構成されていた。
SCP-XXXX-JP-Bは接触したヒトの心理状態を改善させる性質を有していた。採取されたサンプルをもとに調査を行ったところ、セロトニンなどの脳内物質の分泌を促進することによって精神状態を改善させていたことが判明した。採取されたSCP-XXXX-JP-BはSCP-XXXX-JP関連物品としてサイト-81-107にて保管されている。
観測記録XXXX-JP.5
観測日時: 2022/11/18 15:57
観測結果: SCP-XXXX-JP-Aの内部は洞窟様の空間となっており、アクセスポイントから南に32mほど離れた地点に温泉が存在していた。SCP-XXXX-JP-Aの内部に生物は確認されなかった。温泉から更に50mほど南に進んだ地点に鍾乳洞が確認されたが、崩壊可能性を考慮したうえで調査は行われなかった。
SCP-XXXX-JP-Bは接触したヒトの治癒力を高める性質を有していた。採取されたサンプルをもとに解析したところ、細胞分裂や代謝を促進することによって治癒力を高めていたことが判明した。現在、採取されたSCP-XXXX-JP-BはSCP-XXXX-JP関連物品としてサイト-81-107に保管されている。
観測記録XXXX-JP.11
観測日時: 2022/11/19 10:43
観測結果: SCP-XXXX-JP-Aの内部は平野となっており、アクセスポイントから北東に11mほど離れた地点に温泉が存在していた。SCP-XXXX-JP-Aの内部に生物は確認されなかった。温泉から更に150mほど北東に進んだ地点に崖が確認されたが、調査隊員のロストを考慮したうえで調査は行われなかった。
SCP-XXXX-JP-Bは接触したヒトの温度感覚を反転させる性質を有していた。採取されたサンプルをもとに調査を行ったところ、50℃まで加熱していたにも関わらず接触した人物は「凍えるように冷たい」と回答した。現在、採取されたSCP-XXXX-JP-BはSCP-XXXX-JP関連物品としてサイト-81-107に保管されている。
補遺XXXX-JP.3: 追加情報
2022/11/20に行われた観測施行の際に、通常とは異なるSCP-XXXX-JP-Aが確認されました。この際に確認されたSCP-XXXX-JP-Aは通常のSCP-XXXX-JP-Aと比較して「温泉が存在していない」や「多数のヒト型実体が存在している」などの差異が存在していました。これを受けた財団は該当の空間をSCP-XXXX-JP-A'に、ヒト型実体をSCP-XXXX-JP-Cに分類しました。

再現された画像(添付画像.2)
SCP-XXXX-JP-A'は一般に「サウナ」として呼称される空間を模したものでした。面積は125m3であり、内部温度は70℃を超えていました。SCP-XXXX-JP-A'の中央には加熱された石とボウルに入った水が存在していました。これらの物品には「湯元街」3という文字と画像(添付画像.2を参照)が刻印されていました。調査隊員はこれらの物品の回収を試みましたが、SCP-XXXX-JP-Cの妨害により失敗に終わりました。
SCP-XXXX-JP-Cは全裸の男性的特徴を有したヒト型実体です。通常のヒトと同一の外見を有しており、日本語と初歩的な英語を用いた発話を行うことが確認されています。2022/11/20の観測施行の際には5体のSCP-XXXX-JP-Cが確認されていました。調査隊員はSCP-XXXX-JP-Cに対して滞在理由などを問う目的でインタビューを行いましたが、全ての実例において「ととのうためにいる」や「風呂と言えばサウナだろ」という旨の回答を得る結果に終わっています。また、SCP-XXXX-JP-A'の内部部品の回収を試みた際には「馬鹿なことしてんじゃねえ」や「サウナの焼石持っていこうとするな」などの発言を行っていました。
後の調査によってSCP-XXXX-JP-Cと同様の外見を有する人物が実在していることが判明しています。これらの人物とSCP-XXXX-JP-Cの同一性の確認には至っていません。しかしながら、この判明情報はSCP-XXXX-JPと同一・もしくは類似する性質を有するアノマリーが複数存在していることを示唆するものです。
現在、財団では「湯元街」に関する調査と、SCP-XXXX-JP類似アノマリーの捜索が並行して行われています。調査に進展があり次第、当報告書に追記されます。
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