カルカロクレスメガロドンの提言

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Carcharocles megalodon's proposal

2000万年無問題

財団記録・情報保安管理局より通達

財団の保有する全ての異常存在は虚区高速を通じて日本のサイト-81CAに随時移送されることとなりました。今より全てのオブジェクトは現在適用されている特別収容プロトコルが破棄され、サイト-81CA内部での保管に際したものに更新されます。
各オブジェクトに新たに割り振られた特別収容プロトコルと更新された報告書のリストはこちらから確認してください。

— RAISA管理官、マリア・ジョーンズ


アイテム番号: SCP-001-JP Level 5/001-JP
オブジェクトクラス: Thaumiel Classified

↓海ほたるにあるカッターフェイスの写真(ページソース推奨)

DSC00024~3.JPG

SCP-001-JP-1。海ほたるPA崩壊以前に撮影。

特別収容プロトコル


現在SCP-001-JP-1を外部から操作を行う方法は確立されていませんが、人員に対する直接的な影響は確認されないことから、収容は最低限の監視に留められます。当該オブジェクトの稼働が民間の地質調査等で発見された場合、カバーストーリー“安全性確保のための見直し”を流布の上で該当する記録を隠蔽してください。

説明


SCP-001-JPは20██年に発生した東京湾アクアライン及び併設された旧サイト-81CAの崩落事故の以降に確認された、空間拡張改変をはじめとする一連の異常現象の総称です。SCP-001-JPには現時点で以下の現象が指定されています。

・旧サイト-81CAの異常空間への転移
・”虚区高速”の81CAへの接続
・SCP-001-JP-1の異常性の獲得
・LoI-001-JPの出現

SCP-001-JP-1は東京湾アクアライン建造に実際に使用されたシールドマシンのカッターフェイスです。直径14.14mで、円の一部が大きく欠損したような外見をしています。SCP-001-JP-1は以前は海ほたるPA(木更津人工島)にモニュメントとして展示されていましたが、本イベントにより海ほたるPAが崩落した後、一時は所在不明となっていました。同年に海ほたるPA跡地地下60m地点にて、自律的に稼働していたところを財団によって再発見されました。SCP-001-JP-1は不明な原理によって、全体の約40%ほどを欠損した円形のカッターフェイスのみで東京湾地下を掘削しながら移動し続けています。掘削によって発生している土石はすべて消失しており、周囲に特筆する次元の歪曲は確認されないために土石の行方は不明となっています。SCP-001-JP-1が作り出したトンネル内部(LoI-001-JPと呼称)ではヒューム値の低下や次元干渉虚数の発生が確認されていますが、空間内部への侵入がかなっていないために詳細な環境は不明です。

SCP-001-JP-1は海ほたるPAを出発して水深約60m地点を北に向かって直進しており、かつてのアクアトンネルとは無関係なルートをたどっています。

現在、一般道から虚区高速への民間人の侵入が問題となっています。虚区高速領域内のヒューム値の不安定さが原因と考えられており、環境の整備と共に改善が進められています。現在、領域内に侵入してしまった民間人に対しては、記憶処理を施した後元の一般道へと移送し解放しています。今の所、LoI-001-JP内部に民間人が侵入するような同様の現象は発生していません。

文書更新: 20██/██/██

« 記録開始 »

茅ヶ崎臨時管理官: それで、話というのは?

竪琴博士: あ、ああ。全く荒唐無稽で、受け入れてくれるだなんて思ってない内容なんだが、どうしても伝えなきゃいけないんだ。時間を取らせて申し訳ない。

茅ヶ崎臨時管理官: 気にしないでください。前置きは必要ないですから……確かにあなたがた超現実部門からの声がかかった時は、あらゆる意味でただ事でないとは思いましたけれど。

竪琴博士: 私でも理解するのが難しくて──薬が切れてるだけなんだろうとは思うが──まあ、とにかくこれを見てくれ。我々からじゃない、正確には我々の本部からだ。読める内容だといいんだが。

(超現実部門所属の竪琴研究員からサイト-81CA所属の茅ヶ崎臨時管理官へと書類の束が手渡される。)

超現実部門・サイト-⌘より通達

21世紀の日本国の皆様、我々の日々の食事や水仕事がついに実を結ぶ日が来ました。この渦をを見届けるのにざっと2000万年ほどかかりましたが、我々の努力は水にならず、全ての犠牲は報われることでしょう。

大陸プレートがシャッフルされてカットされようと超々物理学的空間に存在するサイト-⌘が姿を変えることはなく、今日まで入退室の秩序を保ち続けています。あなたとわたし、超現実部門の全てはこの場所があらゆる形而上学の観点から財団における最も安全で強固な収容サイトであると認定しました。

気づくのが遅すぎた私達はすぐに[OBJECT]を利用し、非現実的なアノマリーの収容を独自に進めたのです。ハイウェイ上の超常現象は我々で管理可能となり、ハイウェイ上の超常現象は全て我々で管理可能となりました。

さて日本国の皆様、我々は東京湾の海上ハイウェイで次元崩壊事故が発生したことを認知しましたよ。プランクトン共とは違い木更津の人工島はあらゆるハイウェイへ伸びる腕そのものなのですから、首都を始めやがて全ての国土へと空間の乱れが伝播すること、それが心配なのですよ。

しかし安心してほしい、UMIHOTARUにある馬鹿でかいモニュメントは我々サイト-⌘職員が有事のためにと三菱、日立、川崎、IHIが共同で作ったカッターフェイスに手を加えたものです。遠隔で操作でき、超々物理学的なメカニズムで日本国土の地盤を固め、ハイウェイ上の現実性をコントロールする。あのカッターフェイスは時空間を広げて足場を塗り固めていくだけなので、通り道のことは心配いりません。サイト-⌘拡張の際に使用する技術を少しだけおすそ分けするような、そういった形でのご案内になります。

遙か未来から届いているはずのこのメッセージでなぜ既にカッターフェイスを作っていたと説明されるのか不思議に思いましたか?サイト-⌘はそこかしこと違う流れで時間が流れています。いえ、時間は存在します。時間以外の全てが存在し、あの日から、過去と未来を同時に見据えることができるのです。

なので日本国の皆様にもご協力いただきたいのです。サイト-⌘は全てのアノマリーを収容する必要があり、日本国の皆様も全てのアノマリーを収容する必要がある。その使命は変わらないはずです。ハイウェイ上のアノマリーを収容し、超現実部門と共同の研究に取り組んでいただくため、我々に管理を引き受けさせていただきたい。

彷徨うばかりは虚しいでしょう。聡明な我々が快方へ導きます。

— サイト-⌘管理官

茅ヶ崎臨時管理官: これは……どういうことでしょうか。

竪琴博士: その……なんだ。今のうちに聞きたいことがあれば。

茅ヶ崎臨時管理官: 単刀直入に聞きます。どの程度本気にすればいいでしょうか?

竪琴博士: 一旦全部だ。その気持ちは私たちもよくわかってるから。

茅ヶ崎臨時管理官: そうですね。あなたがたの要求としては……サイト-81CAの管轄権限を、超現実部門へと引き渡す。ということですか。

竪琴博士: そうだ。米国のサイト-⌘のやつらとは未だに直接連絡が取れてないんだが、この通達文には我々向けにもう1枚添えてあった。要求のため、日本支部の超現実部門は間を取りもてとな。

茅ヶ崎臨時管理官: それはご苦労なことで……このことを他の部署、上には、どの程度伝えてるのです?

竪琴博士: RAISAは勿論、解析部門にも話を通してる。2000万年後なんて荒唐無稽な数字について調べるのにどのぐらいかかるかわからないが……その後、先程の文書の信頼性についてはO5に持ってかれるらしい。その時は私も同席する事になってる。だから……このことはごく1部とあんたにしか知らされてないんだ。

茅ヶ崎臨時管理官: わかりました。まぁ僕もこのサイトの臨時管理官をしてるのは今のうちだけですから、どの程度口を出せるかはわかりませんが。すみません。とにかく事情は理解しました。今はまだここの収容空間の区画整理も急がなければなりませんから……次いで私に協力出来ることがあれば、いつでも連絡してください。

竪琴博士: あぁ。こんなことに時間を取らせて申し訳ないよ。また改めて話させてくれ。

(茅ヶ崎臨時管理官が対話室を退出する。)

竪琴博士: クソっ。

« 記録終了 »

補遺-001-JP-1


20██/██/██、超現実部門による管轄サイト-⌘より、LoI-001-JPの起源の主張とサイト-81CAを含めた全権限を要求する文書(SCP-001-JP-2と呼称)が提出されました(全文についてはこちらの項目を参照のこと)。サイト-⌘は超現実部門による研究の元形而学的なアノマリーを専門に収容するサイトとして現状は運用されており、業務内容を著しく逸脱するものとして当該申請は却下されています。なおサイト-⌘に勤務していない超現実部門所属職員にはこの内容が伝えられていないことが分かっているほか、現在サイト-⌘からの回答はありません。

SCP-001-JP-2に関しても解析が行われましたが、不明な要因により起源の追跡が不可能となっており、内容の信憑性については疑念が持たれています。文書そのものにミーム災害などは付与されておらず、超現実部門による不可知化薬を用いた調査でも目立った異常性は確認できませんでした。

20██/██/██、超現実部門所属職員である竪琴博士により、調査報告及び提言がなされました。

竪琴博士の提言

サイト-⌘担当職員にSCP-001-JP-2についての事情聴取を行ったところ、内容は事実であるとの回答が得られました。またSCP-001-JP-1についての正式な報告書は現在編集中とのことで、完成を待ちたいと思います。

サイト-⌘がサイト-81CAの役割を横取りする形で今回の声明を提出したのは、我々超現実部門の新たな使命によるものです。

確かに地球上に存在するものの、地上には存在せず、地球上のあらゆる法則から外れた現象を観測する。そんな研究施設はサイト-⌘のほかにありません。サイト-⌘は時間転移が可能な技術を有しているわけではありませんが、その内部空間においては物理学的にも超物理学的にも超々物理学的にも、無限の拡張性を持つといえます。

そしてもう一つの「確かに地球上に存在するものの、地上には存在せず、地球上のあらゆる法則から外れた現象が起きる領域」、それは人間が作り出した「高速道路」も同じであるといえるでしょう。しかし現時点において世界各国の高速道路は恒久性を持たないため、その形を保つため人間による手入れが不可欠です。収容サイトも含めサイト建造物の修復にも限度があるし、何より交通や輸送における重大なインフラである高速道路の一朝一夕での再構築は難しい。これらの領域の物理的な寿命が訪れた場合、地上や一般社会へと異常存在が氾濫する可能性があることは無視できません。財団が掲げる恒久的な人類の保護の実現は、このままでは限界が来てしまいます。

今まで物理的な収容サイトに頼っていた我々は、偶発的に出現したサイト-81CAの異常空間を利用していた訳ですが、この空間を作り出したのはサイト-⌘でした。従来の財団の収容体制に懸念を抱き、自分たちがいる場所と同じく物理的限界の来ない施設について研究しました。

そこで目を付けたのが、当時において人類史上最大の規模で施工が行われた”地下の高速道路”東京湾アクアライン、その崩落です。彼らは自らの技術を持って、高速道路に一時的に接続できる異常空間として地下トンネルを利用すれば、地上に暮らす民間人に影響を与えたり異常性に曝露させるリスクを最小限にできると考えました。しかし我々財団の日本支部は地上の高速道路に重なる形で虚区高速を作り上げてしまっていた。この領域内への一般人の誤進入を防ぐためには、アノマリーの輸送経路を地下のLoI-001-JPに移転するべきです。

以上の私の調査と主観に準ずる合理的見解から、81CAとLoI-001-JPの管理権限を超現実部門に譲渡し、ゆくゆくは虚区高速に代わる領域として利用していくことを提案します。

この提案は監督評議会に提出されましたが、過半数の反対票により却下されました。81CAと虚区高速のこれまで通りの運用が決議され次第、当報告書のこの項目はアーカイブされます。

« 記録開始 »

(サイト-81CA管理執務室の戸がノックされる。執務中の茅ヶ崎臨時管理官が呼びかけるのと同時に戸が開けられ、竪琴博士が入室する。)

茅ヶ崎臨時管理官: 竪琴さん、また何か相談でも。

竪琴博士: ……何かないか?

茅ヶ崎臨時管理官: 私の分の予定でしたが……どうぞ。

竪琴博士: (茅ヶ崎臨時管理官からエスプレッソの注がれたカップを受け取る)渋さは好みじゃないが……今はこれがいい。頭の中が整理されるような──

茅ヶ崎臨時管理官: あなたの、ここへ向けた提案書を確認しました。言わんとすることはわかりました……あなたが正気を保ちながらあの提言を書いてくれたお陰です。

竪琴博士: 管理官。私たちは異常存在の輪郭、特性、真実を正しく理解する為に不可知化薬を自らに投与する。常にそれをする必要がある小規模な集団もいるようだがな。どいつもこいつも私たちを単なるOD野郎だと思いやがって。クソ。

茅ヶ崎臨時管理官: 虚区高速はそんなに失敗でしたか?空間内を現実の高速に常に接続できるようにすれば、道路上から異常実体を素早く退散させ表の秩序を守ることができる。我々で空間の拡張を制御出来ない地底トンネルと、欠点以外は変わらないはずですが。

竪琴博士: 民間人の誤進入は、高速と虚区高速が常に接続されやすいことで起こる。虚区高速を高速と直列させたせいだ。そもそもの位相が重ならない地下トンネルのLoI-001-JPならそれは起きづらい。異常実体を空間内に移動させるときだけ接続するしな。

茅ヶ崎臨時管理官: それはどういった根拠で?

竪琴博士: ガットがそうだと。

茅ヶ崎臨時管理官: それではあまりに弱いではないですか。未来の超現実部門だかなんだか知りませんが、口頭のもの全てに裏付けられる根拠が用意されていませんよね?必ずしも説得がうまくいくわけではないのですから。とくにあなた方の場合。

竪琴博士: 相当私と仲良くしたくないみたいだけどな、悔しいがこちらも仕事なんだ……81CAをこちらに渡してくれないとのちのち大変なことになるぞと言われてはいるんだが、この交渉がどの段階まで行けば良いのか私もわかっていないんだ。意図も終わりも見えない曖昧な主張を、あいつらの代わりを、いつまでしてればいい?ここ最近、前よりも寝るのが3時間は遅くなってる。

茅ヶ崎臨時管理官: あの文章の出来を寝不足のせいにするつもりですか。コーヒーの飲みすぎなんじゃないですか?……それに大変なことって……超現実部門じゃないと解決できないことがあるなら、部分的に協力を頂ければいいことでしょう。

竪琴博士: あぁ、そうだ。協力さえできて、棲み分け出来ればいいんだ。この話だって早く終わる。私だって、ここの権限を丸ごと引き渡せるなんて思っちゃいないんだよ。

« 記録終了 »

文書更新: 20██/██/██

インシデント記録-001-JP-1


20██/██/██、木更津ジャンクション付近にて突発的な時空歪曲が発生しました。現場は約6時間に渡って活性化されたのち財団の収容作戦によって鎮静化されましたが、現在でも東京湾アクアライン連絡道、館山自動車道、首都圏中央連絡自動車道を含む領域内の次元が崩落状態にあり、民間人が再び利用可能になる目途は立っていません。

≪木更津ジャンクションの航空写真≫

当時、領域内の現実性は非常に安定しており、木更津ジャンクション付近の民間人の走行車が突如全て消失し虚区高速十六号木更津線に転移したことで、財団は事態を認知しました。民間人の保護と輸送のため財団は機動部隊う-14(”洋蛍電鉄”)を即座に現地に派遣しましたが、民間人が元々走行していた木更津ジャンクション付近への直接の送還は不可能な状態でした。

後に現場に居合わせた超現実部門所属の竪琴博士とサイト-⌘所属職員によって、LoI-001-JPを経由して民間人の送還は無事に完了しました。

映像記録-20██/██/██

前記: 当時木更津ジャンクション付近をパトロールしていた機動部隊う-14構成員であるリオン隊員が単独で記録したもの。


« 抜粋開始 »

リオン隊員: こちら虚区高速十六号木更津線にて民間人の誤侵入を確認。部隊員や本部やとの通信に異常が発生したため報告は記録で映像代えさせて頂きます。座標や高速の映像から木更津ジャンクション周辺を走行中だったと判断できます。人数は30名ほどで、車両の台数は21台。どの人も不安や困惑を抱いていますが私主導でこれから地上への誘導を始めます。

リオン隊員: 2時間ほど調査を続けているのですが……虚区高速外への復帰ができません。周辺の既存ポータルはすべて消失して、緊急時の開通作業も何故か失敗しています。ある程度進むと……空間形成にバグが起きたような感じで、高速の壁高欄が聳え立っている箇所があり、物理的にも封鎖されているようです。こちらにも私の機材を使って干渉を試みていますが、破壊できません。想定よりも帰還に時間がかかりそうです。困ったな。

リオン隊員: 今日でちょうど、2ヶ月ほどでしょうか。全員の時計が少しずつずれてきていて正確な時間経過が把握しづらいのですが……今は全員寝ています。今日は5人の自決を制止しました……彼らはみな一般人ですから。限界を迎える人は日に日に増えていっていたのですが、いつごろからか、また減り始めました。暴れる気力もなくなっていったのでしょうね。

リオン隊員: 私は、なんとか大丈夫です。もう彼らからの信頼はとっくに失っていますがね、はは。この記録が届く日が来るのかもわからないまま……いつか財団の人間が助けに来てくれると、うわごとを言い続けてる人とでも思われているのでしょうね……景色にも全く変化がないまま、次元のバグに閉じ込められて……いつまでこうしていれば……

竪琴博士: 何やってんだ君。こんなとこで。

リオン隊員: (記録端末を手から落下させる)はっ……!?だっ誰ですかさっきまでは誰も……(リオン隊員の記録端末が竪琴博士の全身を下から映し出す)財団職員……?

竪琴博士: そうだ。SCP財団超現実部門所属竪琴。すまない……動画を回していたんだな。サイト-81CAの少し先で発生した空間異常の調査にやってきたんだがさては君たちだな?この空間に落下した一般人たちというのは。

リオン隊員: その通りです!どうやってここにたどり着いたのですか、戻れる方法があるなら早く助けてください!

竪琴博士: 虚区高速などという茫々たる世界に置いてきぼりにされて……さぞ不安だったろう?さあ眠りこけてる彼らを全員起こして彼らのシートに行儀よく戻すんだ。

リオン隊員: うん……えっ?

ガット博士: ドクター・ハープ。50人までならカバーできるんだが、どんな感じだ?

竪琴博士: やぁ博士。海の向こうからはるばる来てくれて……本当にありがとう。人数はそこの彼を入れて32人だ。これで、私たちの考えはうまくいくよ。本当に感謝している……

(約50秒間にわたって、二人は握手をする。)

リオン隊員: あの……あなたたちはさっきから何を……

竪琴博士: すまない。今すぐ君たちを現実世界に移送しよう。といってもなるべくたくさんの段階を踏む必要があるんだが……まあいい。その方法っていうのが、我々がこの高速に侵入したやり方だ。

竪琴博士: 簡単な話だ。LoI-001-JPを経由する。本来人間が内部に入れる場所ではないんだが、サイト-⌘の彼らが協力してくれたお陰で本格的に輸送経路として利用できるようになったんだ。だがそのためには君たちの思考を開放する必要がある。ガット博士、準備を。

(竪琴博士が指を鳴らし、合図を出すと同時に職員が輸送車から出した機材を道に並べていく。民間人もその周囲に集められていく。)

リオン隊員: だっ大丈夫ですよね!?彼らは民間人ですよ、丁重に、してもらわないと。

竪琴博士: わかってるさ。しかし同時に、やむを得ない事態だからな。今からここの全員に不可知化薬を投与し、我々が開くゲートに案内していく。ひとりひとりの適合量を調べながらやるから多少時間がかかってしまうだろうが、もう少しの辛抱だ。

リオン隊員: 噓だろ……。

« 抜粋終了 »


⬇プロット(仮組み)

◼ LoI-001-JPは一旦は全世界のアノマリーや"虚区高速"に迷い込んだ一般人を移送するための通路として運用される。世界各国の高速道路に開通するポータルが開くため、いずれは財団の本拠地としての使用も視野に入れている。

◼ SCP-001-JPは地上にアノマリーが一切出現しないようにする仕組みを地球内部に作るために、地球そのものにコマンド記号⌘を刻む目的で2000万年後のサイト-⌘によって作られたことが超現実部門により判明する。これによって人類は2000万年の間滅亡せずに存続しているらしい。

◼ 2000万年後の財団はサイト-⌘内の超現実部門しか存在していないらしい。全てのタイムラインのアノマリーを収容するという新たな使命を得た彼らは、"虚区高速"タイムラインにおける財団の81CAと対立する。

◼ 木更津ジャンクションで"叡智的現実では収容不可能なアノマリー"による大規模収容違反が発生。81CAへの誘導は困難を極めるも超現実部門が木更津ジャンクションをまるごとサイト-⌘の入口に改造することによりこれを収容。しかしこのインシデントにより木更津ジャンクション付近の道路が虚区高速に接続されやすくなるように。やむを得ず財団は、アクアラインに続き木更津ジャンクションを全面的に封鎖。

◼ どうにか協力関係になった超現実部門と81CAはこれらの責任を問われ、超常組織に対し現状を公開。また一連の騒動により全国での高速道路の利用を反対する運動が起こる。(NEXCOなどへの反発など)

◼ 高速道路全体からアノマリーをより確実に排除し自らの収容下に置くために、81CAと超現実部門共同で全世界の高速道路の改造が計画される。これによりほぼ全てのアノマリーが81CAに完全に移送される仕組みが完成するが、とあるインシデントにより高速道路の領域全てが異界化、あるはずの高速道路が全て消失する。

◼ 81CAならびに財団の運営の為に不可知化薬の投与が義務化されており、これが成功に見えている。高速道路の消失に世界中がパニック状態に陥った為、財団は全世界に対し不可知化薬の散布を決定。

◼ SCP-001-JPによる、日本列島の地下に広がる⌘が完成。サイト-⌘が地上の現実世界、全ての人間と接続される。

◼ 地球はなんの問題もなく、2000万年後も続いていく。

◼ ████万年後、SCP-001-JPは"財団を作った最初のオブジェクト"として、報告書が更新される。

文字数: 12055

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