FP-18が最初に記録されたのは江戸時代であり、蒐集院によって出入りが可能で一面草原の広がる異空間として認知されていた。異空間の内部には限定的に人が住む事例はあったが、内部の多くが湿原であり、逃亡等に使われていた痕跡が確認できるだけであった。加えてポータルが不安定で(ヘッカですが、ポータル/ワームホールには多くの種別があると考えており、今回の場合は自然消失速度が早いということを指します。いつか記事にするかも?)蒐集院の技術ではポータルの維持が不可能であったため、蒐集院も探索を進めていなかった。IJAMEAや負号部隊、東弊重工や日本生類創研といった要注意団体もFP-18には認知こそしていたものの注目しておらず、財団による蒐集院吸収後も重要視されることは無かった。
注目が向けられたのはプロメテウス研究所によるポータル固定化技術が1971年に開発されたためである。しかし、プロメテウス研究所の保持している異空間の中で不安定なポータルを持つものは小規模なもののみで実用性の確認には不適切だった。そこで目に付けられたのがFP-18であった。財団にとってもFP-18の取り扱いについては定まった方針が無く、関係も比較的有効であったプロメテウス研究所に研究目的として利用されるのはそこまで悪い話ではなかった。1972年、財団とプロメテウス研究所の間でFP-18を研究目的以外で使用しないことを条件として、幾つかのパラテックとFP-18を交換する協定が結ばれた。ボストン協定である。
ポータルの固定化は成功したものの、プロメテウス研究所はFP-18の想定外の広さにポータルの固定化が返って管理を手こずることになるだろうと考えた。また、内部も想定外の規模の泥炭地が広がっていたため、他の研究目的での利用というのも難しい。そこで、GOC、日本国政府、境界線イニシアチブ、マナによる慈善財団、東弊重工などと共同し、『研究目的』という名目で教育機関を作成した。当時の日本は第2次ベビーブーム第1のポータルは室戸岬に設置され、GOC主導のヴェール・プロトコル遵守の為、基本的に学校関係者や資材を出入りさせない体制も整えられた。その上、FP-18内での商活動を認める代わりにヴェール・プロトコルの遵守を他の団体にも求めた。これが室戸協定である。細かい条件の擦り合わせなどから発効には長い時間を要し、1975年にFP-18が蒼玲園として教育機関の稼働が始まると同時に協定は正式に締結された。
財団が上記の流れを発見したのは1981年、GOCや日本政府を標的とした超常テロを財団が未然に阻止し、背景を洗い出したところ蒼玲園が浮上。JAGPATOへの通達やヴェール・プロトコルへの影響をGOCに連絡しても返答はなし。財団は単独で調査に乗り出すこととなり、臨時機動部隊 あ-18 ("翼折る雷")を結成。散発的な衝突も発生するなど緊迫した状況が続いた。
1981年10月、二ヶ月ほど続いた緊張状態はJAGPATOにてマナによる慈善財団仲介の会議の末、室戸協定に財団が加わり、一部を改定することで合意が形成された。室戸協定のうち、ヴェール・プロトコルに関する規定をポートランド協定、蒼玲園に関する規定を蒼玲協定として再締結。クロウリー・レジームが明記された。
安泰だと思われた蒼玲園の運営であったが、1998年の超常バブルの破裂、プロメテウス研究所の倒産によってクロウリー・レジームは事実上崩壊。プロメテウス研究所が運営していたアストライア・スクールは日本の超常企業の出資が引き金となり「コースが異なれば学校が異なる」と言われるほど、分裂した状況となった。そして、時は2024年となった。
蒼玲自治会
蒼玲園の自治組織。蒼玲園内では蒼玲協定によって各団体よりも優越権を認められている。自治会の行動基本的には6学校団体の代表者(学生)による合議で決定されている。→しかし、内部に存在する蒼玲警察機動隊の投入はクロウリー・レジームの6団体(財団、GOC……)などの代表者によって決められる。
また、クロウリー・レジームの各団体の保有する部隊を蒼玲園に侵入させることはいかなる理由があっても禁止されている。この原則は蒼玲協定7条に記されていることから七番原則とも呼称される。
学校団体(クロウリー・レジーム)
天青学園
財団傘下の学校。生徒層は財団職員の家族から孤児、異常性保持者に加え、成人後に異常に接し、財団に雇われた人が送られるケースもある。他校よりも秘密主義的側面が強く、カリキュラムや授業内容の具体的な中身を学外に持ち出すことはしない。稀に蒼玲自治政府より授業内容や財団への雇用状況について調査が入り、問題点を指摘されることも多い。
コースがエージェントや機動部隊員を育成する朧コースと研究員を育成する有明コースの2つに分かれており、コースによって色が大きく異なる。朧コースは天青学園のステレオタイプのようなコースで傍若無人、冷静、無愛想などと呼ばれる。有明コースは他団体と同内容の研究を行っていると協力を申し出ることもある。しかし、財団の研究員の卵であるということは、もちろん変わり種もかなり多い。
アルテミス連合学院
GOC主導の学校。108評議会の一員で、元々外部の小規模な学校であったが、室戸協定の際に移転。現在では蒼玲園内で2番目に大きな学園として知られている。しかしながら、学園全体の統一感というものは薄く、アルテミアに帰属しているというよりは108評議会のどこに所属していると考えている生徒が多数派である。生徒層は108評議会関係者や孤児が多い。
卒業後物理部門に配属されるヘスティア・クラス、精神部門に配属されるアテナ・クラス、天地部門に配属されるアポロン・クラスというようにクラスが分かれているものの、この差によって色自体はあまり変わらない。
アストライア・スクール
元々プロメテウス研究所が主導していた学校。規模、生徒数含めて最大であるものの、学校としての形は失われつつある。プロメテウス研究所の崩壊後、多くの日本の超常企業がアストライア・スクールの主導権を目論んで内部対立が激化。現在蒼玲園でも最も治安の悪い場所として有名でありアストライア管轄区域では多くの超常犯罪が多発していると蒼玲自治会は宣言しており、幾度となく機動隊が送られるものの内部の調査にまでは至っていない。また、アストライアの代表は蒼玲自治会に半ば亡命しているような状況である。
黄昏学院
日本政府主導の学校。中規模であり、学校教育自体に特色は無い。しかし、学校構内に████大学とのポータルが存在しており、蒼玲園への主要な入口のうちの一つとなっていることから、蒼玲園の玄関口として機能している。
聖クパチーノ高等学院
マナによる慈善財団主導の学校。小規模であり、学校教育自体に特色は無い。
ウリア高等学校
境界線イニシアチブ主導の学校。小規模であり、学校教育自体に特色は無い。
反自治会組織
A/A(Alternative Azure)
自治会から認識されていないほど小規模な反自治会組織である。蒼玲園は超常社会の組織の監視下にありながら主要施設が教育機関という異質な体制であるにもかかわらず、アノマリーを利用した教育に消極的な各学園の主導組織に対して不満を集わせる人間の集まり。とは言うものの、当初はそこまで活動が活発な団体ではなかった。
R.v.(Re.verb.)
アストライア・スクール内に存在する学校改革団体。蒼玲園最大の反自治会組織。腐敗し、教育機関の体を成していないアストライア・スクールの現派閥の解散と騒動に介入したがらない自治会代表を追放しようとしている。要注意団体の協力を受けていないと宣言しているが、その規模の大きさから何かしらのバックがあると推察されており、自治会はこの組織の活動を認めていない。
その他
特別指定企業"Clematis Corp."
フリーポート内にて企業活動を行うことが許可されている企業。日奉家の人物によって経営されている。パラテックを使用した物は販売していない。
“エクレアマーケット”
蒼玲園内で許可されていない物品を取り扱っている店のことを指す。単純にエクレア売りとも。