Alone-S: 03
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自動車事故で片親!からのゼロ親!からの遠い親族伝いで反財団フリーランス化!

という具合に業界に入ってから今日で1年。初恋の人が即死したり片目だけ義眼になったり肉体改造したりとそれなりに大変だったけど何とかうまくやってます。本名ユリカ。フリーランスネームはシモムラ。女子で高校2年生です。


これから自動車に詰まったままプレスされるそうです。






2週間前。


「──だから、敵をこう囲い込む形で配置するのだ。侵入経路はこの一本に絞られる」
「友軍誤射必死だけどそちらの教団員の方々は」
「素人は黙ってろ!」

「どっちが素人かよく考えろ~~~!!!」みたいな文句をいう人はどこにもいません。何せこのスキンヘッド口臭オジサンは私たちの雇い主、鉄錆の果実教団横浜支部の支部長さんなのです。下手に刺激すると2度とお金がもらえなくなっちゃいます。

ともあれこれは本当に酷い陣形。教会の正面玄関からやって来た主攻をコの字型の防御陣形で誘い込み、ある程度の侵入を許したあたりで多方向から叩くつもりらしいのですが、このままだと向かい同士で配置された人たちに流れ弾が当たりかねません。上辺だけの獅子気で五稜郭防衛線の真似でもしているのでしょうか。

「五稜郭は知っているよな貴様?」

五稜郭の真似でした。本当に当たるとは思ってなかった。

「せめてその設計思想に基づいた運用しろよ」
「やっているだろうが」
「いやまったく」
「やっているだろうが!!防衛側の射撃陣形はコレが一番強いんだ!!学無しめ!!」

何回か一緒に雇用されて前線やってるフリーランスの方ですが、やっぱりこの人凄いです。

ポニーテイルの似合うちょっと怖いしかめっ面の方。今まで後ろから見てきた限り実力も相当なモノでしたが、クライアント相手に臆せずモノを言える人は腕の良し悪しに関わらず格好よく見えます。あとハゲの口臭が本当にキツくて嫌になります。何でテーブル1個挟んでここまで漂ってくるんでしょうか。

それから何でハゲはこのタイミングで作戦会議しているんでしょう。まだ教団員ですら全員到着してないのに。


鉄錆の果実教団川崎支部と横浜支部の全面抗争。教義の違いだとか汚職だとかいろんな話が飛び交ってますが、少なくとも参加中のフリーランス組は何一つとして興味無さげです。僕もさして興味があるわけではありません。以前からかなり問題視されている団体ではあったものの

「十字砲火最強論については3割くらい同意だけど、五稜郭の場合は仮想攻撃目標が射撃陣地の遥か下方だったから理論上成立しただけ。味方同士が同じ高さで向かい合って同じ高さの攻撃目標を撃ってもこっちの人死にが増えるだけだ。考えなくても解るだろ」
「この……」
「悪いな東大卒で」
「……」

黙らせちゃった。そして帰らせちゃった。終始圧が凄い。

まだ名前も知らない人だけど何者なんだろう。敵襲までしばらく暇になるっぽいし。久しぶりに面白い記録が取れそうなので一回凸を入れてみます。記録用紙持ってきといてよかった~~!!!


:


「……誰だよお前」

言われちゃった。言われて嫌になる事を意識的に全部言ってくるタイプの人かもしれません。けど、僕はむしろそういう振り切った人の方が好きです。こちらも真っ直ぐ向き合う気になれるので。

「シモムラっていいます!色んなフリーランスのいろんな物語を集めるのが趣味です!」
「面白い趣味だな」
「よく言われます!」
「何も面白くないよ」

拒絶のキレが普通のフリーランスと一線を画しています。凄い。元一般人枠でここまで切れた返しする人ってそうそういませんよ。

嫌いになるどころか一層興味が湧いてきました。銃器の手入れ中に申し訳ない!シモムラモード入ります!

「お名前は!」
「大卒」
「過去一番かっこいいフリーランスネームかもしれない!」
「よく言われる」

意地悪に意地悪で返してもロクな結果にはならないので「かっこよくないですよ」とか言うつもりはありません。心を開きかけてくれたらしいのでこのまま詰めます。心開いてくれてるといいなあ。

「大卒さんは東大卒なんですか?」
「……一応」
「学部とかは?」
「理学。地球惑星科学専攻」
「わぁ」

馴染みが無さ過ぎてこんなリアクションしかできないのが惜しいです。過去に色んな出自のフリーランスの方を見て来ましたが、流石に東大生のフリーランスを見るのはコレが初めてでした。超常社会にありながら、というか超常社会に身を置きすぎたからこその新鮮な感覚を味わっています。僕は今東大卒の大卒さんを目の当たりにしています。

サブマシンガンの弾倉を一つずつ確認しながら、“大卒”さんは作業がてら一応こちらに耳を傾けているようでした。ここまで来れば勝ち確というやつです。左隣に腰を下ろして物理的に距離を詰めます。わあとても鬱陶しそう!

「MAC11ですか!こないだも使ってましたよね」
「こないだ?」
「ちょっと前の茨城の抗争でこう、こう!僕ずっと後ろにいたんですよ」
「ポニテの子か」
「です!」
「気づけなくて悪かったな」

弾倉を外した状態でのチャンバーチェック。引き金を引いて内部のハンマーを戻してホルスターに収納。手慣れた動き。やっぱり根は良い人っぽいです。ここまで近づく隙も無く追い返されちゃうケースも沢山あったのでちょっとだけほっとしています。

かなり使い込まれた銃です。革製のホルスターも。そして凄く丁寧に手入れされてます。電車の中で少しだけ漂うかもしれない程度にはガンオイルの香りがします。

「話して満足するなら話す」
「やったぁ!フリーランス化の経緯とかその銃の話とか色々聞きたいです!」

少しだけ沈黙。本来元一般人にフリーランス化の経緯を聞くなんてのは御法度of御法度なわけですから当然です。業界からしてみれば僕なんて異端of異端なのです。

しばらく後、大卒さんはもう一度MAC11を手に取って






暗い。


暗くて狭い。何も身動きが取れない。

死にながら生きている。


2日間ずっと。



痒みや痛みすら感じなくなってきた。脱水症状型の慢性的な倦怠感と閉塞感、圧迫感だけが全てになっている。

死んだ方がマシってまさにこういうことなんだろうな。脳味噌がが左右縦に引き伸ばされて。声も出せなくなって。常に酸欠なのにここまでやられてまだ生きていて。思ったより辛くなかったけど辛いことに変わりはない。死にたいよ。今すぐにでも。死ぬしか残されていないなら尚更。


奪禍さんはちゃんと死ねたのかな。


最期だけ観察しそびれた。あれだけ強引に潰されたら死んでるに決まってるんだろうけど、僕が知りたいのはそんなことじゃない。この世界に未練があったのかどうかなんてのもどうだっていい。奪禍さんならないに決まっている。

[加筆]


何だよ


答え出てんじゃん。

僕は



僕らは孤独を恐れていた。



超常フリーランスなんてロクなもんじゃない。孤独を強要される


言われるまでもなく知ってたよ。知ってたけど誰一人として救えなかったよ。救えなかったからせめて1人でも多く憶えてやろうと思ったんだ。

忘れ去られるのは怖い。誰だって怖い。でもそれ以上に、






「立てるか」



人の声。光。音。


新鮮な空気。11月の寒気。熱。全身の痛み。痛み。痛み。痛み。


自分の体。


目覚める。状態を起こして声の主を見やった。


「助けに来たわけじゃないが、結果的に助けに来た」
「……誰?」
「カイナレス」

腕無しだから『カイナレス』なんだろうか。確かに左肩から先が等しく欠損している。男の人だった。かなり身長が高い。

「お前に用があって来た」
「──終わらせてきましたよ」

別の声。別の人影。周辺だけでも10人くらいはいるのか。

明らかに似合っていない、季節違いも甚だしい水色シャツの七三分けメガネ。両手に生首を抱えたままこっちを覗き込んでいる。

「鉄錆は潰しておきました。大丈夫ですか?」
「……まだ完全修復出来てません」
「心の心配なんですが」

生首抱えておいてこの優しさ。あんまり前線に出るべき人じゃないなと、少しだけ笑ってしまう。笑えている。本当に似合っていないシャツだ。何で僕は助かっているんだ。

逡巡の間も無い。カイナレスが二枚の写真を目の前に差し出す。

「見覚えはあるか」



2人の少女の写真。再開して間もない呼吸が止まりかけた。

1枚目は例のニット帽。もう一方は──



「……フタツキ」



同時にカイナレスが大きく目を見開く。


「……探し出して殺す。手伝え」
「道理は」
「あるだろ」
「ありますけど」

[加筆]

「フリーランスネームはシモムラでいいのか?」
「奪禍」

「簒奪の禍。略して奪禍」
「面白い名前だな」
「よく言われます」

── 03 ──

RETURNER-S


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文字数: 5398

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